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「論判〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

論判の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
坑夫」より 著者:夏目漱石
と自分には分らなかった。人間には違ないが、ただ薄暗く赤いばかりで、顔つきなどは無論判然しやしない。がと思って、自分も不審かたがた立ち留っていると、やがて障子の奥....
道草」より 著者:夏目漱石
、もし出さなければ倉の中で用を足すが好いかといって、網戸の内外《うちそと》で母と論判をした話はいまだに健三の耳に残っていた。 そう思うと自分とは大変懸け隔った....
三四郎」より 著者:夏目漱石
は大きな画帖を膝《ひざ》の上に開いた。勝手の方では臨時雇いの車夫と下女がしきりに論判している。たいへん騒々しい。 「ちょっと御覧なさい」と美禰子が小さな声で言う....
婦系図」より 著者:泉鏡花
馬鹿め、と噴出して飛上る後から、ややあって、道学先生、のそりのそり。 二階の論判一時に余りけるほどに、雷様の時の用心の線香を芬とさせ、居間から顕われたのはお....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
、あるものの顔から血が流れた。「御輿を下せ御輿を下せ」と巡査が馳せ集って、烈しい論判の末、到頭|輿丁の外は許さないということに成った。御輿の周囲は白帽白服の人で....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
久しい無縁墓だで、ことわりいう檀家もなしの、立合ってくれる人の見分もないで、と一論判あった上で、土には触らねえ事になったでがす。」 「そうあるべき処だよ。」 「....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
。どう致しまして。』 そうかと思うと、あっちの隅では二同胞のあいだに先刻から大論判がはじまっている。 『諾威も瑞典も旅券の査証は要らないんだ。』 『そうかなあ....
唖娘スバー」より 著者:タゴールラビンドラナート
でも思っているようでした。彼女の行末のことだの、心配だのを、彼女の目の前で平気に論判します。スバーは、極く小さい子供の時から、神が何かの祟りのように自分を父の家....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
ぞ……」 趙家の二人の旦那と本家の二人の男は、表門の入口に立って革命のことで大論判していた。阿Qはそれに目も呉れず頭をもちゃげてまっすぐに過ぎ去った。 「ドン....
故郷」より 著者:井上紅梅
てから毎日きっとやって来るんだよ。きのうは灰溜の中から皿小鉢を十幾枚も拾い出し、論判の挙句、これはきっと閏土が埋めておいたに違いない、彼は灰を運ぶ時一緒に持帰る....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
断崖の上で拾った、例の黒く薄い板っぺらの様な小片を取出した。 「これ何んだか、勿論判るだろう? よく見て呉れ給え」 「……何んですか。――ああ。レコードの缺片じ....
雪の宿り」より 著者:神西清
坊へ上りました後々も、一慶さまや瑞仙さまが奥書院に通られて、太閤殿と何やら高声で論判をされるのが、表の方までもよく響いて参ったものでございます。そういうお席で、....
異妖編」より 著者:岡本綺堂
、その火の玉は宙を飛んでここの家へはいった。ほんとうの火の玉か、化物か、それは勿論判らないが、なにしろここの家へ飛び込んだのを確かに見届けたから、念のために断っ....
夜光虫」より 著者:織田作之助
子はふとうなだれて、 「――あたしにも判らないんです」 「ふーん」 小沢にも無論判らなかった。 「――病院もやめてしまったんですか」 「病院から、来てくれ来て....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
じゃないと言うて叱りつけますと、なーに私は貴坊がたが三年の間|煙管一本について大論判をやって居るのがあまり気の毒でたまらない、ついてはこの煙管を貴坊がたにあげま....