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諦念
「諦念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
諦念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
発見出来るので、窮極に於いて、たより無い気がするのです。感傷の在《あ》りかたが、
諦念に到達する過程が、心境の動きが、あきらかに公式化せられています。かならずお手....
「ろまん灯籠」より 著者:太宰治
でもなし、また、お互い同じ祖先の血筋を感じ合い、同じ宿命に殉じましょうという深い
諦念と理解に結ばれた愛情でもないという理由から、この王子の愛情の本質を矢鱈に狐疑....
「鮨」より 著者:岡本かの子
合によっては情熱的な壮年者にも見えるときもあった。けれども鋭い理智から来る一種の
諦念といったようなものが、人柄の上に冴えて、苦味のある顔を柔和に磨いていた。 ....
「寒山拾得」より 著者:森鴎外
もなく、さればと言ってみずから進んで道を求めるでもなく、自分をば道に疎遠な人だと
諦念め、別に道に親密な人がいるように思って、それを尊敬する人がある。尊敬はどの種....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
の不自由さも今はK氏の詩情や憂愁を自らいたわる生活形態と一致させたやや自己満足の
諦念にまで落ちつけたかに見うけられる。けれども、矢張り逃避の世界が、K氏をめぐっ....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
、何ひとつできなかった。立ちあがって、尻餅ついた。サラリイマンは、また現われて、
諦念と怠惰のよさを説く。姉は、母の心配を思え、と愚劣きわまる手紙を寄こす。そろそ....
「純粋小説論」より 著者:横光利一
り、新しいリアリズムの創造であるべき筈だ。メルヘン的な青い花の開花は、逃げ口上の
諦念主義と変化しても、悪政治の強力なときとしては致し方もあるまいが、しかし、いず....
「夜の靴」より 著者:横光利一
なることの一つである。誰からも一大危機と分っているとき、逃げ廻る狡猾さと坐り込む
諦念と。危機でなくともこれは毎日人には来ていることだ。今夜も私は襲われて鴨にされ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
しか来けむ」というような強い激越の調がなくなって、「現身の人なる吾や」といって、
諦念の如き心境に入ったもののいいぶりであるが、併し二つとも優れている。 ....
「新たな世界主義」より 著者:豊島与志雄
、それでなければならないと、私は思う。ここに一つの世界主義が生れる。 東洋流の
諦念は、吾々の精神生活をも肉体生活をも、つまり吾々の生活を、余りにも無力な貧しい....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
しい惨めさ、努力などの何の役にも立たぬこと、期待の空なこと、――そんなことはもう
諦念めてしまっていた。ところが今夜、晩の食事を了ってからのことである。私にはすべ....
「鼠坂」より 著者:森鴎外
訳あがりは平山と云う男である。 小川は迷惑だが、もうこうなれば為方がないので、
諦念めて話させると云う様子で、上さんの注ぐ酒を飲んでいる。 主人は話し続けた。....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
て、
溜息を衝いては、息苦しがる。
息は詰まらぬが、元気も無い。
絶望はせぬが、
諦念も附かない。
こう云う絶間のない経歴、
惜みながら措くこと、嫌いながらするこ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
った。また、市岡が微笑をもらしたという事実も、それが彼の行為や、胸底に抱いていた
諦念を解釈する暗示のように思えて、やはり私の息苦しい気持を救った。 「新聞の記事....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
。六カ月ほど百姓の生活がしてみたい。おそらくそれが僕にはよい利き目があるだろう。
諦念! 何たる悲しい隠れ家だ! しかも、それのみが今の僕に残されている唯一の隠れ....