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「諸手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

諸手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
真似をするメリケン野郎……」 弦三は、それを聞くと、ムクムクッと起きあがって、諸手で受信機を頭上高くもちあげると、 「やッ!」 と壁ぎわに、叩きつけた。 「....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
それからブルッと血顫いをした。ケラケラケラと笑わんず気勢。ポンと蹴返して乳の下を諸手突きに一刀刺す。ヒーッという悲鳴。顫わせる指先。爪の色が見る見る灰色となり、....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
たのを目撃したという。味方も敵も最前線にあるものはまだその事を知らない。その日は諸手の持ち場持ち場からしきりに城中を砲撃し、城中からも平日よりははげしく応戦した....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
が》は忠三郎氏郷だ、戦の門出に全軍の気が萎《な》えているようでは宜しく無いから、諸手《もろて》の士卒を緊張させて其の意気を振い立たせる為に、自分は直膚《すぐはだ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
前が霞んで来た。ハッハッハッと呼吸も荒い。 当たって砕けろ! と三蔵は、うんと諸手で突いて出た、そこを小野派の払捨刀、ピシッと横から払い上げ、体の崩れへ付け込....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
珠は、空に赤棟蛇の飛ぶがごとく閃いた。が、いきなり居すくまった茸の一つを、山伏は諸手に掛けて、すとんと、笠を下に、逆に立てた。二つ、三つ、四つ。―― 多くは子....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、花片に、いやその腹帯の端に、キラキラと、虫が居て、青く光った。 鼻を仰向け、諸手で、腹帯を掴むと、紳士は、ずぶずぶと沼に潜った。次に浮きざまに飜った帯は、翼....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
と思え。」 というままに、頸の手拭が真額でピンと反ると、棒をハタと投げ、ずかと諸手を墓にかけた。袖の撓うを胸へ取った、前抱きにぬっと立ち、腰を張って土手を下り....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
浅い、ト白骨は肋の数も隠されず、蝶々|蜻蛉の影はよし、鳥の糞にも汚されよう。勢い諸手高く差翳して、えい! と中心へ投込まねばならぬとなった。 「そんな事が出来る....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
だわが言うべきを言わしめたまえ、貴嬢のなすべきことは弁解を力むることにはあらで、諸手を胸に加え厳かに省みたもうことなり、静かにおのが心を吟味したもう事なり、今わ....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
ら命を女なら……」 「黙れ!」と、山口という武士は、紙帳に映っている影を目掛け、諸手突きに突いた。 瞬間に、紙帳の中の燈火が消え、紙帳は、経帷子のような色とな....
剣侠」より 著者:国枝史郎
を! と拙者は引っ外し、大きく右足を踏み出して、貴様の肩を叩き割る。……それとも諸手に力を集め、胸元へ突を入れて来てもいい。と拙者はあやなして反わし、あべこべに....
書記官」より 著者:川上眉山
ことをすると顔をしかめて笑う。いい気味! と光代は奪上げ放しに枕の栓を抜き捨て、諸手に早くも半ば押し潰しぬ。 よんどころなく善平は起き直りて、それでは仲直りに....
活人形」より 著者:泉鏡花
と睨附くれば、お藤は声を震わして、「そればっかりは、どうぞ堪忍して下さいまし。と諸手を合すいじらしさ。「応、肯かれないな。よし、肯かれなきゃあ無理に肯かすまでの....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、青ズボンの、髯むじゃ露助の助けて助けてに真向、拝み討ち、唐竹割り、逃げる腰から諸手突き、ウーラーウーラーも虫の息でへたばる背をば乗り上げ、蹴立てて躍進、伝令使....