諾否[語句情報] »
諾否
「諾否〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
諾否の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
を細君に打ち明けた。用事は固《もと》より単簡《たんかん》であった。けれども細君の
諾否《だくひ》だけですぐ決定されべき性質のものではなかった。彼の自由に使用したい....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
がたいと、出立する十五分前に御夏さんを呼んで、昨日《きのう》申し込んだ結婚事件の
諾否を尋ねると、御夏さんは笑いながら静岡には水瓜もあります、御医者もありますが一....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
といいかけて婦人は咽《むせ》びぬ。 これをこの軒の主人《あるじ》に請わば、その
諾否いまだ計りがたし。しかるに巡査は肯《き》き入れざりき。 「いかん、おれがいっ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
あった丈太郎に取次ぎましたが、兄は舌打ちをして顔の色さえ変えました。勝見に会見の
諾否を伝えようと思っている間に、入口の扉を乱暴に開くと、笛吹川画伯がぬからぬ顔を....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
溢れていた。「昨日レヴェズ様が、私に公然結婚をお申し出になりました。そして、その
諾否を、この二つで回答してくれと仰言って……」と彼女は語尾を萎めて、あまりにも慌....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
よ》かったのだ。設計に対する詳細妥当な見積り書によって、その審議によって役所側の
諾否は決せられるのであったから。
だが、第三ばん目の競争者があらわれようとは誰....
「能とは何か」より 著者:夢野久作
の処へ稽古をつけに行く。又、中央都市や地方の定期の会、その他の催しに於ける演能の
諾否を決定し、曲目を撰み、出演者の役割りをきめる。 又、家元は、自流の能楽の演....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
けに、その子のことを考えると、暗い影に心が蔽われた。彼は母と妻との申出に対して、
諾否の返答が与えられなかった。そしてただ、二人の心持ちだけを執拗に分解して見た。....
「幻覚記」より 著者:豊島与志雄
、何かの伴奏か、反響か、手応えが、ある筈である。 そうだとか、そうでないとか、
諾否の返答が、どこからか響く筈である。好意か敵意かを含むゼスチュアーが、どこかに....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
う伺候者《しこうしゃ》が、彼等の語ろうとして来た用件をいうと、斉彬は一言で、その
諾否を決した。そして、それで、用が終ると、きっと斉彬は、机に向った。人々は、退出....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
から、帰った後にと両親は思っていましたのを、次兄の篤次郎と相談して、独逸へ電報で
諾否を問合せて、ずんずん事を運んでおしまいになったのです。昭和四年の九月でしたが....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
っそう烈しい烈しい侮辱を感じ、憤然とせずにはいられなかった。もちろんその晩Tには
諾否を与えず、黙々としてそのまま私は花月の楽屋をあとにすると、翌日、私は天王寺に....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
そうしたら僕も殆《ほとん》どこの世に生存する張合がない。アア考えてみれば御両親の
諾否《だくひ》が僕の運命の岐《わか》るる所。今こそ一大事の場合だ」と独りで思案し....