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謡本
「謡本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
謡本の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
ないのさ」
父はそう云ったなり洒然《しゃぜん》としていた。
床《とこ》の前に
謡本を置いていた一人の客が、その時父の方を向いてこう云った。
「しかし女というも....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
が少女時代に観世《かんぜ》の謡曲を習って娘の伸子は、子供のときからゴマ点のついた
謡本になじみがあった。多計代の、いかにも自分の声量にこころよく身をまかせた謡いぶ....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
せられたと思うと、老顔に浴びるように汗の滝を流しながら、精も気根も尽き果てた体で
謡本の前に両手を突いて、 「今日はこれ位で、どうぞ御勘弁を……」 と白旗を揚げ....
「能とは何か」より 著者:夢野久作
り、いろいろの催しや、刊行物なぞを出しているのもある。 又、家元は自流に属する
謡本や、その他、能楽関係の書類の刊行権、又は版権を持っていて、重要な収入として取....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
――(たかが半円だ、ご免を被って大きく出ておけ。)――軽少過ぎる。卓子を並べて、
謡本少々と、扇子が並べてあったから、ほんの松の葉の寸志と見え、一樹が宝生雲の空色....
「魔像」より 著者:林不忘
を考えて、自ら嗤《わら》うもののごとくにつと白い歯を見せると、彼はそのまま、再び
謡本《うたいぼん》へ眼をさらし出した。 端坐の膝を軽く叩いて、手拍子《てびょう....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
日金 虚子方丈下 ○ 明治四十一年二月七日(封書) 啓上
謡本五冊わざわざ御持たせ御遣わし御懇切の段感謝致候。小生万事不案内につき御仰の通....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
とする。……遊女、白拍子はまだしも、畏多いが歌の住吉明神のお声だって写すんです。
謡本と首引きで、朱筆で点を打ったって、真似方も出来るもんか。 第一、五紋の羽織....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
これは昨日の地震のことを思い出したのであります。 関寺小町――これは座右にある
謡本の中にこういう名前が見つかりました。 高――これは私の姓の上の一字が思い出....