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「譫語〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

譫語の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
く様子を聞いて見ますと、私《わたく》しの逢ったその晩から急に発熱して、いろいろな譫語《うわごと》を絶間なく口走《くちばし》るそうで、それだけなら宜《い》いですが....
芽生」より 著者:島崎藤村
達も寝沈まったかと思われる頃であった。 「父さん、房ちゃんは最早駄目よ」 熱の譫語《たわごと》とも聞えなかった。と言って子供の口からこんな言葉が出ようとも思わ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
の煤も払わず、鬚もそらず、煎餠蒲団は敷きっ放し、来るなら来い、などあわれな言葉を譫語の如く力無く呟き、またしても、えへへ、と笑うのである。まいどの事ながら、女房....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
其の中へ入り、彼の陀羅尼経を読もうとしたが中々読めない。曩謨婆※。何だか外国人の譫語の様で訳がわからない。其の中上野の夜の八ツの鐘がボーンと忍ヶ|岡の池に響き、....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
兵衛は臥せっていた。 「灯火が暗い。もっと点せ」 夜具からヒョイと顔を出すと、譫語のように紋兵衛は云った。年は幾歳か不明であったが、頭髪白く顔には皺があり、六....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ること、音で聞いて想像した通り。ただし、この想像は、一人の酔客があって、爛酔して譫語《うわごと》を発しているという想像だけで、その客の人相骨柄というようなものは....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
が。そういう次第で、医師が彼に答えたのはかなり素気なかった。 「酔っ払っているか譫語を言っているかだ。」と先生が言った。 「仰しゃる通りでごぜえますよ。」とシル....
糸くず」より 著者:国木田独歩
月の末、かれはついに床についた。 正月の初めにかれは死んだ。そして最後の苦悩の譫語にも自分の無罪を弁解して、繰り返した。 『糸の切れっ端――糸の切れっ端――ご....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
救治策だけは知らない山師どもが、モンセーニュールの接見会で、人の心を迷わす彼等の譫語を手当り次第の人間の耳に注ぎ込んでいた。言葉で世界を改造している、また天に攀....
麻酔剤」より 著者:田中早苗
彼女が覚醒しないで、そのまま私の腕に死んでゆくかも知れないという心配よりも、譫語の中で両人の秘密をいい出しはせぬかということが、むしょうに恐ろしくなって来ま....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
とがある。そしてその毒麦の穀粒は刺激性、麻酔性の毒分を有し、それを食うとよく口に譫語を発し、胃に苦しい痙攣がおこり、心臓が衰弱し、睡気を催し、眩暈がしあるいは昏....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
のかも知れませんでございますよ。何でもあの聖さまは毎日、陽が西の空に廻る時分から譫語を言うのでございます、半病人のようになって、わたくしは気味も悪いし、奥さまの....
猫と村正」より 著者:小酒井不木
。地だんだ踏んで後悔してももはや及びませんでした。 その夜から妻は高熱のために譫語をいうようになりました。 「三毛が来た!」 「三毛が来た!」 こう叫び続け....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
メフィストフェレス へえ。わたしには余りよくは分からないが、 断末魔の譫語だったかも知れません。 そう云いましたっけ。「己はうっかりぽんとしていたこと....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
いる。 異様な混雑が始まる。人が皆席を立って動く。八方から、丁度熱に浮かされた譫語のような、短い問や叫声がする。誰やらが衝立のような物の所へ駆け附けた。 「電....