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譲り合い
「譲り合い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
譲り合いの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
のだ。そこでお鉢は紀州公(徳川|茂承)の方に回った。先手総督は尾州公と紀州公との
譲り合いとなった。その時の尾州公が紀伊中納言への挨拶に、自分は隠居の身分で、国務....
「稲生播磨守」より 著者:林不忘
ている。奎堂は五十がらみ、茶筅髪の学者型である。一同が提げ刀のまま入り乱れて席を
譲り合いながら、座につこうとする時、ひとりの侍の刀の鐺《こじり》が、他の一人の刀....
「伊太利亜の古陶」より 著者:宮本百合子
じゃありませんか」 「お先に」 「いや、どうぞ子爵から……」 戸口でおきまりの
譲り合いの後、高畠子爵が先に立って部屋を出た。後から日下部太郎が続く。彼の艶のよ....
「一つの芽生」より 著者:宮本百合子
しく過敏になっているように見えたので、互にできるだけの休息と睡眠を与えようとする
譲り合い、愛情から出たかなり執拗な勤めかたが、かえって互の感情を害すようなことさ....
「惜別」より 著者:太宰治
、礼譲の国から来た人間の面目を発揮するのはここだとでもいうつもりか、互いに座席の
譲り合いで大騒ぎをはじめる。甲が乙に掛けろと言えば乙は辞退して丙に掛けろと言う。....
「青年」より 著者:森鴎外
家扶が名代に出席したのだそうである。 座席に札なぞは附けてないので、方々で席の
譲り合いが始まる。笑いながら押し合ったり揉み合ったりしているうちに、謙譲している....
「是は現実的な感想」より 著者:宮本百合子
れ眺めに変化があるのだ。ぶらぶら歩いていると、漠然、自然と人間生活の緩漫な調和、
譲り合い持ち合いという気分を感じ長閑《のどか》になる。つまり、畑や電柱、アンテナ....
「吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
に合わないから!」 「だって他に人がないことは解っているじゃないか!」 などと
譲り合いつつ、酔いに酔った遠慮深いアメリカ・インデアンと美しいマイワイを纏《まと....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
言葉に兄弟は顔を見合いて先刻には似ず、兄上先にお渡りなされ、弟よ先に渡るがよいと
譲り合いしが、年順なれば兄まず渡るその時に、転びやすきを気遣いて弟は端を揺がぬよ....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
は怪我人を抱えていた。わずかに生き残った人々が奇しき因縁を互いに感じ、乏しい物を
譲り合い、共に用いて暮らしていた。この不自由極まる生活の内容は美しいものであった....