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護謨
「護謨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
護謨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
行きづまってしまう。そう云う時は、ただでさえ小さな先生の体が、まるで空気の抜けた
護謨風船《ごむふうせん》のように、意気地《いくじ》なく縮《ちぢ》み上って、椅子《....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ていた。中には大学の西洋人の教師も、一人二人は来ているらしかった。俊助は、大きな
護謨《ごむ》の樹の鉢植が据えてある部屋の隅に佇《たたず》みながら、別に開会を待ち....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
い農場を譲り受けていた。その時彼れは三十七だった。帽子を被って二重マントを着た、
護謨《ゴム》長靴ばきの彼れの姿が、自分ながら小恥《こはずか》しいように想像された....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
…へ飛上る。浅草の玉乗に夢中だったのだそうである。もっとも、すぺりと円い禿頭の、
護謨、
護謨としたのには、少なからず誘惑を感じたものだという。げええ。大なおくび、....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
荷畑。水溜には杜若が咲いていました。上り口をちょっと入った処に、茶の詰襟の服で、
護謨のぼろ靴を穿いて、ぐたぐたのパナマを被った男が、撥で掌を敲きながら、用ありそ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
れども、その為人は大いに違って、島野は、すべて、コスメチック、香水、巻莨、洋杖、
護謨靴という才子肌。多磨太は白薩摩のやや汚れたるを裾短に着て、紺染の兵児帯を前下....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、それが最初だというのである。 見るから心も冷ゆるばかり、冷たそうな、艶のある
護謨布を蔽いかけた、小高い、およそ人の脊丈ばかりな手術台の上に、腰に絡った紅の溢....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
も眩むように暑かったと云った。 主人が主人で、出先に余り数はなし、母衣を掛けて
護謨輪を軋らせるほど、光った御茶屋には得意もないので、洋傘をさして、抱主がついて....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
りや、米の粉は心得たろうが、しらしら明でも夜中でも酒精で牛乳を暖めて、嬰児の口へ
護謨の管で含ませようという世の中じゃあなかった。何しろ横に転がして使う壜なぞ見た....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
僕はマダ抱え俥を置いた事がない、イツデモ辻俥で用を足すというンのだ。沼南の金紋|
護謨輪の抱え俥が社の前にチャンと待ってるんだからイイじゃないか。社の者が沼南の俥....
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
《がぜん》一大爆音が彼等の飛びこんだ方面に起った。僕たちの車の硝子《ガラス》が、
護謨《ゴム》毬《まり》をたたきつけたかのようにジジーンと音を立てた。 何事か起....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
折れたそうです。それから金庫の扉を開けようとすると、扉のところによれよれになった
護謨のようなものがはさまっていて、開ける拍子にぽろりと落ちたので、それも拾って、....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
何かに躓いて前へのめった。その拍子にぐにゃりと柔かいが、しかし弾力のあるあたかも
護謨の如きものの上に、両掌と膝頭とを突いたのだった。 「何だろう?」 手探りで....
「河明り」より 著者:岡本かの子
きたいのですが」 その晩、私たちをホテルまで送って来た社長は帰り際に「そうだ、
護謨園の生活を是非見て貰わなくちゃ、――一晩泊りの用意をしといて下さい」 と云....
「磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
山に飛んで来ると湯の町を一ぱいに掩っている若葉の光が生きたように青く輝いて来る。
護謨ほうずきを吹くような蛙の声が四方に起ると、若葉の色が愁うるように青黒く陰って....