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谷中
「谷中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
谷中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
きり頭へ浮んで来た。
――これもまだ小学校にいた時分、彼は一人母につれられて、
谷中《やなか》の墓地へ墓参りに行った。墓地の松や生垣《いけがき》の中には、辛夷《....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
む》りをし、はっと思って目を醒《さ》ます拍子に危く香炉を落しそうにする。けれども
谷中《やなか》へは中々来ない。可也《かなり》長い葬列はいつも秋晴れの東京の町をし....
「夢」より 著者:芥川竜之介
たしさだった。
「君の家《うち》はどこ?」
「あたしの家《うち》? あたしの家は
谷中|三崎町《さんさきちょう》。」
「君一人で住んでいるの?」
「いいえ、お友だ....
「外科室」より 著者:泉鏡花
代より品行いっそう謹厳にてありしなり。予は多くを謂わざるべし。 青山の墓地と、
谷中《やなか》の墓地と所こそは変わりたれ、同一《おなじ》日に前後して相|逝《ゆ》....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
初からですもの、断つものも外に無いの。そして願掛けをしたんですって。どこかねえ、
谷中の方です。遠くまで、朝ねえ、まだ夜の明けない内に通ったのよ。そのお庇で……き....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
。少佐は其の人達を僕に紹介して呉れましたが、一人は参謀の川沼大尉、他の一人の阿佐
谷中尉と二人の兵士は通信係の人達でした。少佐はこれより直ちに僕の家を訪問して、謎....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
「深川区毛利町方面殉死者」などと記されている。 仮埋葬は都内六十七ヵ所。既設は
谷中、青山のみ。あとは錦糸、猿江、隅田、上野等の大小公園や、寺院境内、空地などに....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
お供を申し上げることになったのでございます。 申し忘れましたが、奥様の御墓所は
谷中墓地でございまして、田端のお邸からはさして遠くもございませんので、私共は歩い....
「転機」より 著者:伊藤野枝
婆はけげんな顔をして私達二人の容姿に目を留めながら、念を押すように、今私のいった
谷中村という行く先きを聞き返しておいて、 「何んでも、その堤防を越して、河を渡っ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ゃないか。」 「お前様もね、当前だあこれ、空を飛ぼうが、泳ごうが、活きた猫なら秋
谷中|私ら知己だ。何も厭な事はねえけんど、水ひたしの毛がよれよれ、前足のつけ根な....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
竹キネマ俳優学校の生徒となり、一定の給費を受けて通学するようになつたので、我々は
谷中真島町の下宿に移つて別々の部屋におさまつた。 この時分から伊藤は映画脚本の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
さえ地の下に沈んで、人気はなく、近づいて来る跫音もしない。もっともここに来る道で
谷中から朝顔の鉢を配る荷車二三台に行逢ったばかりであるから、そのまま日傘を地の上....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ッて、いうじゃありませんか。 何と驚いたものでがしょう。その袖の香を心当てに、
谷中のくらがり坂の宵暗で、愛吉は定子(山の井夫人)を殺そう。お夏さんは定子になっ....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
・S・Sの名が世間を騒がした翌る年、タシカ明治二十三年の桜の花の散った頃だった。
谷中から上野を抜けて東照宮の下へ差掛った夕暮、偶っと森林太郎という人の家はこの辺....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
ものは、少々の金額を出だせば足れり。 埋葬場の前には必ず花屋と石屋あり。東京の
谷中に異ならず。親戚、朋友ときどき埋葬場を訪い、墓所を掃除し花を献ずる等、またわ....