谷地[語句情報] »
谷地
「谷地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
谷地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
門岳が立っている、東西は一里に足らず、南北は三里という薬研《やげん》の底のような
谷地であるが、今憶い出しても脳神経が盛に顫動《せんどう》をはじめて来る心地のする....
「上高地風景保護論」より 著者:小島烏水
耗は、やがて人情の上に倒影して、恐怖すべきほど、乾燥にして露骨なる時代を、荒廃の
谷地に象徴されはしまいか。このような、恐怖すべき時代は、今日では都会を襲って、地....
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
り、または日本本州という大館を支える鉄骨ともなって、海抜一万尺前後の標高を示して
谷地(河内という称呼はおのずから
谷地を暗示している)の四周に、あるいは尖塔《ピン....
「鮨」より 著者:岡本かの子
りした。饑えぬいて、頭の中が澄み切ったまま、だんだん、気が遠くなって行く。それが
谷地の池水を距ててA―丘の後へ入りかける夕陽を眺めているときででもあると(湊の生....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
るだけあって、どこか、赤石山下の、小渋川に似ている。小渋川よりも、川幅が狭くて、
谷地が、かえって濶いだけに、徒渉の回数は少い、深山の渓流としては、先ず安楽な方で....
「函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
、実に函館全市を焼き払うためにおよそ考え得らるべき最適当の地点と思われる最風上の
谷地頭町から最初の火の手が上がったのである。 古来の大火の顛末を調べてみるとい....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
から、ずずうと蔦が切れたと見えて、両手に攫ったなり谷底へ落ると、下には草が生えた
谷地に成って居り、前はどっどと渦を巻いて細谷川が流れます、 山「はアー何うも怖い....
「山の春」より 著者:高村光太郎
ぽいあかい花をつけ、又カタクリのかわいい紫の花が、厚手の葉にかこまれて一草一花、
谷地にさき、時として足のふみ場もないほどの群落をなして、みごとなこともある。カタ....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
って、向うに薪をこなして居るは此の山村の杣と見えて、傍の方に山菅で作った腰簑に、
谷地草で編んだ山岡頭巾を抛り出してあって、燻ぶった薬鑵と茶碗が二つと弁当が投げ出....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
った謡「ハイクンテレケ ハイコシテムトリ」 兎が自ら歌った謡「サンパヤ テレケ」
谷地の魔神が自ら歌った謡「ハリツ クンナ」 小狼の神が自ら歌った謡「ホテナオ」 ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
に耐え切れず、漸く見出した隙間を見て、お鉄の家の裏庭から、崕を雑草に縋りながら、
谷地の稲田の畦路にと降りた。 やれ嬉しやと思う間もなく、パッと上から罠が落ちた....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
たの仲間の者と共に浜へ越ゆる境木峠を行くとて、また笛を取出して吹きすさみつつ、大
谷地(ヤチはアイヌ語にて湿地の義なり内地に多くある地名なりまたヤツともヤトともヤ....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
り当ては、シャスタには応用出来ない。草山は、まあいいとして、木山はシャスタでは、
谷地帯になっているし、殊に石山に該当するところは、万年雪と氷河の喰い込みで、岩頸....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
魚沼郡と信濃の下高井郡とにわたって、信濃川の支流なる中津川の上流、苗場山の西方渓
谷地方を秋山谷という。交通不便な極めての山間で、里人との交渉も少く、したがって近....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
こんもりと盛り上った椈の大木が疎らに散生して谷風にそよいでいるさまは、人里近くの
谷地にポプラの木が生えているような感じである。しかしこれには大きな犠牲が払われて....