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谷深
「谷深〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
谷深の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
かれない程の熱い日ざかりに。この農村を通り抜けると、すこし白く濁った川に随いて、
谷深く坂道を上るように成る。川の色を見ただけでも、湯場に近づいたことを知る。その....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
れて、また一目散に馬を飛ばす十六、七歳の小冠者もある。 こんなふうにしてさらに
谷深く進んだ。二十二日には浪士らは上穂まで動いた。そこまで行くと、一万七千石を領....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。また彼は勇気をふるい起こし、道を縦横に踏んで、峠の上で見つけて来た金剛杖を力に
谷深く進んで行った。ようやく妻籠手前の橋場というところまでたどり着いて、あの大橋....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
ために孕まさるる事しばしばあり、爾時《そのとき》牝馬狂い出し、巌高く湍《せ》速く
谷深きを物ともせず飛び越え跳び越え駈け廻る、この時ヒッポマネス馬身より流れ出づと....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
ら四年前のこと、日本アルプスで、私の友人である古神行基という子爵が雪崩のために谿
谷深くさらわれて行方不明になりました。救護隊も駆付けましたが、谿が深くて手の施し....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
資産家で、郷土民俗の趣味と、研究と、地鎮祭をかねて、飛騨、三河、信濃の国々の谷谷
谷深く相|交叉する、山また山の僻村から招いた、山民一行の祭に参じた。桜、菖蒲、山....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
を照らす狐火の御神燈に、幾たびか驚いて目を塞いだが、路も坂に沈むばかり。いよいよ
谷深く、水が漆を流した溝端に、茨のごとき格子|前、消えずに目に着く狐火が一つ、ぼ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
は眼に止めた。
あるそまなどはこういうことをいった。
「ある日私は道に迷って、
谷深くはいってゆきました。するとどうでしょう木の香の新しい、幾棟かの家々が建って....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
贄川の猪狩明神、薄村の両神神社なども皆人の乞うに任せて与うという。秩父は山重なり
谷深ければ、むかしは必ず狼の多かりしなるべく、今もなお折ふしは見ゆというのみか、....
「国栖の名義」より 著者:喜田貞吉
の都は高市郡の南部大軽の地)よりは東南、山を隔てて吉野河の河上に居る。峯峻しく、
谷深く、道路狭※であるが為に、京よりは遠からずといえども、古来出て来た事が稀であ....
「炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
ぜしむるものがあったのである。「真木立つ山の奥、檜原の蔭、岩の蔭道たど/\しく、
谷深き木の間より立ちのぼりたる煙の有様、世にたぐひなきは炭竈の風情なり」などと、....
「寺町」より 著者:岩本素白
ともある。そうかと思うと、古い門だけが上の町に立って居て、そこから直ぐ狭い石段が
谷深く続き、その底に小さな本堂の立って居るような寺もある。初夏の頃は、その本堂が....
「洗いづくりの美味さ」より 著者:北大路魯山人
易ではないが、場所を得れば、敢えて難事ではなかろう。いわなの洗いは、どうしても渓
谷深く身をもって臨む以外に法のないものである。私は黒部渓谷、九谷の奥、金沢のごり....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
いようである。 峰の茸を採り終えて、さてこんな場合私の眼を欣ばしめるものは、渓
谷深く生い立った松の樹幹とそうして其の葉の色彩である。何の支障するものなく自然に....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
る。今年は如何したものか兎角降り勝で、山登りには不適当な天候であった。殊に黒部の
谷深く入り込もうとする私達には、絶えず其事が気遣われた。今日も汽車を下りて町をあ....