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「豁然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

豁然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
美少女」より 著者:太宰治
場の草原を踏みわけて行くと、草の香も新鮮で、朝露が足をぬらして冷や冷やして、心が豁然《かつぜん》とひらけ、ひとりで笑い出したくなるくらいである、という家内の話で....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
の行法を凝らし、夕には秘密念仏の安座を離れず、二|行彬々《ぎょうひんぴん》として豁然智度《かつぜんちど》の心萌し、天晴れの知識となりすました。彼は自分の道心が定....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
野《すその》から、藍、紫の深きを稲妻《いなずま》に縫いつつ、最上の純白に至って、豁然《かつぜん》として眼が醒《さ》める。白きものは明るき世界にすべての乗客を誘《....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
目の暁方《あけがた》に、隣の家で赤ん坊がおぎゃあと泣いた声を聞いて、うんそうだと豁然大悟《かつぜんたいご》して、それから早速長い髪を切って男の着物をきて Hie....
創生記」より 著者:太宰治
ち破るとも孤城、まもり抜きますとバイロン卿に誓った掟、苦しき手錠、重い鉄鎖、いま豁然一笑、投げ捨てた。豚に真珠、豚に真珠、未来永劫、ほう、真珠だったのか、おれは....
考城隍」より 著者:田中貢太郎
宋公はすぐ馬に乗って、秀才と別れて帰って来た。そして自分の村に帰ったかと思うと、豁然として夢が寤めたようになった。その時宋公は死んでから三日になっていた。母は棺....
丹下左膳」より 著者:林不忘
つにある。この石! この石! この、おぬしのいわゆる薄よごれた石じゃ!」 こう豁然《かつぜん》と胸をたたいて泰軒が笑うと、忠相もおだやかな微笑をほころばせなが....
反抗」より 著者:豊島与志雄
こね起すべき梃がほしい。何よりも先ず、頭の中だけに狭められたこの息苦しい世界を、豁然とうち拡げることだ。視力を恢復することだ。精神的窒息は最もたまらない。 夜....
失策記」より 著者:豊島与志雄
が面白いのである。然し実世間はみなそうしたものであろう。私は自分の迂濶さを笑い、豁然と眼が開けた思いをした。そしてその論理を、いろいろのことに適用してみて、ひと....
三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
、まあ当分静かにしているようにと周囲の者も勧め、彼自身もそのつもりでいた。そこへ豁然と自由主義の時代が開けたのだ。彼は今や四十九歳、思想もますます円熟してきたに....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
重みに堪え、その重みの下に苦闘しつつ、よくそれを双腕に支え得るならば、彼の前には豁然《かつぜん》として新たな天地が開けてくるであろう。その時彼はすでに、新旧両時....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
諾を全うしよう! こう考えたのでございます。 一旦決心が付いてからは、私の心は豁然と開け一切の煩悶はなくなりました。仕事も捗取って行きました。 こうして私は....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
二十七人連判状の件です』 『アッ、そうですか!』 ルパンが眼前に閉された垂帳は豁然として開かれた。彼が今日まで黒暗々裡に、暗中模索に捕われていた迷宮に、忽焉と....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
というものを……いいえ、人の姿どころか! 人家一軒見当らないのです。山を降りて、豁然として視野の開けた今でも、まだその辺見える限りは、ただ小高い丘や野草の咲き乱....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
『そうだね』と力無き返事せるのみにて、気乗りせず、尚悔恨の淵に沈む。 やがて、豁然として我に返り、二タ仕掛の綸を、餌入の上に致し、一箱のマッチを傾けて火を点ず....