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豊艶
「豊艶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
豊艶の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
い褐色がかった飛絣のお召を着ていたが、それがこのごろ小肥りのして来た肉体を一層|
豊艶に見せていた。葉子はその前にも一度|田舎へ帰ったが、その時は見送りに行った庸....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
れていた。事業に於て、着々と進むべき道程を進んでいる主人と、まだ三十を僅か越した
豊艶な夫人と、一人ずつの男と女との子供達、それに召使いを混ぜて、朝から晩まで、笑....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
関する管絃楽の組曲が、それぞれ演ぜられていた。ある華々《はなばな》しい話し手が、
豊艶《ほうえん》な恋愛の詩人が、シャートレー座で贖罪について講演をしていた。もと....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
とぎすまされた心眼には凄味がある。ジッと二百名の美姫をにらんだアゲクに、最も優美
豊艶、容姿抜群、白百合のような気高い子を招きよせて、石川淳の肩をたたいて、 「こ....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
、アントレーの鳥肉を牛の様に噛み続けた。 軈て食事が終ると、夫人がむいて呉れる
豊艶な満紅林檎を食べながら、遺産の問題やその他差当っての事務に関して大月は夫人と....
「豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
にあの女《ひと》こそ円転滑脱な、というより魅力をもった声の主だ。彼女の顔かたちが
豊艶なように、その肉声も艶美だ。目をつぶって聴いていると、阪地の人特有な、艶冶《....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
因として感じているものに、国土の美しき風景、山川草木がある。つまり、潤麗にして、
豊艶なるわが国の風景が、人々を純情に育てきたったのであろう。さらにそこへ一つ、郷....
「夜長ノート」より 著者:種田山頭火
文明を駆歌する荷風氏。現実の醜悪を厭うて夢幻に遁れんとする未明氏。温雅淡白よりも
豊艶爛熟を喜ぶ白秋氏。 或る意味に於て、すべての人間はアイデアリストである。ド....
「私の洋画経歴」より 著者:小野佐世男
声さんに会ったらわすれずに聞こうと思っている。 伊太利女優の、ピナ・メニケリの
豊艶なあで姿は、一幅の泰西名画が動きだしたようで少年の心うちでもその芸術性は、う....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
句あるひは「薗八《そのはち》」の曲節を連想せしむるものならずや。湖龍斎が全盛期の
豊艶なる美人と下《くだ》つて清長の肉付よき実感的なる美人の浴後裸体図等に至つては....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
で黒くすすけた像の中から、まずその光った眼と朱の唇とがわれわれに飛びついて来る。
豊艶な顔ではあるが、何となく物すごい。この最初の印象のためか、この観音は何となく....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
なやかに見えながら、開けた浴衣の胸から坐った腿《もも》のあたりの肉づきはあくまで
豊艶《ゆたか》になって、全身の姿の何処ということなく、正業の女には見られない妖冶....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ぐすべもあるのにと思われたが、こんなときの廉子には帝もお手が出なかった。三十路の
豊艶な花はまだ露も香も十分にたたえているが、それにもかかわらず棘がある。 けれ....