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「豊麗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

豊麗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
た。秋から冬にかけてにょきにょきと延び上がった細々したからだには、春の精のような豊麗な脂肪がしめやかにしみわたって行くのが目に見えた。葉子だけは春が来てもやせた....
星座」より 著者:有島武郎
は何をするか、自分でも分らないよ」と憫《あわ》れむがごとくに自分の前にうずくまる豊麗な新鮮な肉体に心の中でささやいたが、同時に、「逃げるなら逃げてみろ。逃げよう....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
いき」に適合している。「当世顔は少し丸く」と西鶴《さいかく》が言った元禄の理想の豊麗《ほうれい》な丸顔に対して、文化文政が細面《ほそおもて》の瀟洒《しょうしゃ》....
旧主人」より 著者:島崎藤村
方ならいざ知らず、女に見せては誰も悪《にく》むものはあるまいと思う程。頬の肉付は豊麗《ふっくり》として、眺め入ったような目元の愛くるしさ、口唇《くちびる》は動い....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
へ反らせるとひとを焦らすような唇が生き生きとついていた。胸から肩へ女になりかけの豊麗な肉付きが盛り上り手足は引締ってのびのびと伸びていた。真佐子は淑女らしく胸を....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
も見ることの出来ない、伸子の告白文が現われてくるのだ。それは気紛れな妖精めいた、豊麗な逸楽的な、しかも、ある驚くべき霊智を持った人間以外は、とうていその不思議な....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
その前に立った日本北アルプスの峰々は、猩紅色や、金粉を塗った円頂閣となり、色彩の豊麗な宝石を鏤ばめた、三角の屋根となった。 見る見るその雲の大隆起の下には、火....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
のようであった。 土のあるところには、すべて草木が植えられてある。それらはその豊麗なることにおいて、かの灌木にやや劣っているとしても、なおひとかたならざる丹精....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
を経るのであろうが、僕はその人の画いた女の図を見て静かな快楽を覚えた。この画家は豊麗な、可憐な女を画いた。そうすれば、これで本望なので、そういう覚悟に物哀れなと....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
し何とも言えない魅力を持っていた。彼女は非常なおめかし屋で念入にお化粧した。その豊麗な、陽気な姿が店頭にあると店は明るかった。彼女は商売が好きで、そして上手でも....
地上」より 著者:島田清次郎
しさを感じずにいられなかった。父はお光をも愛したが、勝気で男勝りな、強い綾子の、豊麗な少女と成長して行くのにある希望を見出していた。 三人の兄妹が七、八つにな....
増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
た家康の廟は、江戸城紅葉山にもあったが、これは明治六年の火災で焼失してしまった。豊麗な秀忠廟 家康薨去の時は、最初駿河の久能山に葬り、その後間もなく日光に移し....
真珠塔の秘密」より 著者:甲賀三郎
題の塔は正面入口のすぐ右側に、四方硝子の戸棚に収められ、夜眼にもそのすべすべした豊麗な膚は清い色を放って居た。曲者の飛び出した窓は、地上から十五尺ばかりの所を館....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
少し熱い。晴れた青空に拡がる丈枝を伸した水楢などの大木の若葉が、日光に透き徹って豊麗な生々した黄金色に冴えている。飛び交う羽虫の翼が其間からひらひら閃めく。実に....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
谷は、ほんの上流の一部が此処から見られるのではあるけれども、心をおののかすような豊麗にして深刻なる色彩の世界を暗示するに足るものであった。 伐り倒された大木が....