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「豚箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

豚箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
うから涙、一滴、見せないつもりだ。ここに七夜あそんだならば、少しは人が変ります。豚箱などは、のどかであった。越中富山の万金丹《まんきんたん》でも、熊の胃でも、三....
虚構の春」より 著者:太宰治
書記長になり、学校にストライキを起しくびになり、お袋達が鎌倉に逃げかえった後も、豚箱から、インテリに活動しました。同志の一人はうちに来て、寄宿から帰ったぼくと姉....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
末期へ来ているのかも知れない。 水銀を飲まされたようなしわがれた声で、 「――豚箱へはいって、面白そうに笑う人がおすか。――喧しゅうて眠られへん」 「きつうき....
さようなら」より 著者:田中英光
、駅頭に張っていた特高に掴まった。ポケットに築地の切符の切端しが残っていたので、豚箱に入れられ、ワセダの下宿先を捜査されると、始末してなかったアカハタが一部出て....
ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
証明だ。ねえ帆村君、あのピストルが屋根裏でズドンと鳴った頃には、一平の奴上野署の豚箱のなかで、虱に噛まれていたらしいよ」 「……」帆村は黙りこくっていた。 「そ....
蠅男」より 著者:海野十三
つけられるだろうか。それは出来ない相談だった。帆村はいま、暴行沙汰のため、警察の豚箱のなかに叩きこまれているはずだった。宝塚ホテルの帳場子は、帆村がそんな目に会....
天馬」より 著者:金史良
いて見える。彼は思い深げにその入口の前に立ち止ると、へん、青くさい野郎奴、今こそ豚箱で……とにやり薄笑いを浮べた。それからどれ、一つはいってやるかなという気にな....
遺恨」より 著者:坂口安吾
ゴロゴロしていたが、貧民を救え、失業者に職を与えよ、そんな当り前のことを云っても豚箱にブチこまれる有様であった。 インフレというものは、むしろ痴呆的に、暮らし....
魔都」より 著者:久生十蘭
ろに潜伏しているのを突止めたという報告がさっき来ましたから、今ごろはもう溜池署の豚箱に放り込まれた頃でしょう」 といっているところへ電話のベルが鳴る。総監が受....
夜光虫」より 著者:織田作之助
てる所を見たら、千円くれる約束やったな」 亀吉は手を出した。 「阿呆! ここは豚箱やぞ。一銭も持ってるか」 豹吉はそう言って、伊部の方へ寄って行った。 「よ....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
卓子の上に投捨てたなり黙ってわたくしの顔を見ているので、大方警察署へ連れて行って豚箱へ投込むのだろうと、初《はじめ》のようにからかう勇気がなくなり、此方《こっち....
夏向きの一夜」より 著者:山之口貘
たいであるが、誰何されることによって、別に、ひどい目に合わされたこともなければ、豚箱を経験したわけなのでもなかった。ところが、いつ、どんな勘違いをされて、どんな....