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貂
「貂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。獣は鼬《いたち》によく似たもので、黄いろい毛と長い尾を持っていた。おそらくは
貂《てん》であろうと判断されたが、それほどの大きい
貂は滅多《めった》にあるもので....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
。と枇杷の宿にいすくまって、裏屋根へ来るのさえ、おっかなびっくり、(坊主びっくり
貂の皮)だから面白い。 が、一夏縁日で、月見草を買って来て、萩の傍へ植えた事が....
「蠅男」より 著者:海野十三
洋装の女は、年齢のころ、二十二、三であろうか。断髪をして、ドレスの上には、贅沢な
貂の毛皮のコートを着ていた。すこぶる歯切れのいい東京弁だった。 「それから連れの....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
から、オリガ・クリヴォフ夫人の半身が、傲岸な威厳に充ちた態度で現われた。彼女は、
貂で高い襟のついた剣術着のような黄色い短衣の上に、天鵞絨の袖無外套を羽織っていて....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
の孔に飛び込み、決してそこには足跡をつけない等と言った。こうしておくと兎の大敵|
貂等に足跡を伝われても安全だということだ。夕方から気温が下り雲が動き出して天候快....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
はこれを差し上げます」 少年はふくろを解いて、見ごとな毛裘をとり出した。それは
貂の皮で作られたもので、金や珠の頸かざりが燦然として輝いているのを見れば、捨て売....
「小公女」より 著者:菊池寛
どった天鵞絨の服や、レエスの着物や、刺繍のある衣服や、駝鳥の羽根で飾った帽子――
貂の皮の外套、それから小さな手袋、手巾、絹の靴下――帳場の後方に坐っていた婦人達....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
揺れるのでした。彼女は赤いオレンジ色のビロードのゆるやかな着物をつけていました。
貂の皮でふちを取った広い袖からは、光りも透き通るほどのあけぼのの女神の指のような....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
ないが、女のために秦は破壊されたといっても大して間違いはあるまい。そうして董卓は
貂蝉のために確実に殺された。 阿Qは本来正しい人だ。われわれは彼がどんな師匠に....
「イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
の商人の家の池を掘りに行っていました。冬が来て、タラス王は、新しい外套につける黒
貂の皮が欲しくなったので、使の者に買わせにやりました。すると使のものは帰って来て....
「瘤とり」より 著者:楠山正雄
とおり、夜中になると、何十|人となく青い着物を着た赤鬼や、赤い着物を着た黒鬼が、
貂の目のようにきらきら光る明かりをつけて、がやがやいいながら出てきました。 や....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
…………… ついに方子の推測が真実となった。 翌日、方子は斜面に寝ころんで、
貂のような、空の浮き雲をうっとりと眺めている。その、烈しい空、樹海は、緑の晃燿を....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
体を、揺り椅子に横たえて、足へは踵の高い木沓をうがち、首から下を、深々とした黒|
貂の外套が覆うていた。 女は、紅琴の慈悲深い言葉で問われるままに、最初自分の名....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
の筆に成るは僅かに二篇十冊だけであって爾余は我が小説史上余り認められない作家の続
貂狗尾である。もっともアレだけの巻数を重ねたのはやはり相当の人気があったのであろ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
じゃ。」 その食い物は、蝙蝠、梟、蛇、蜥蜴、壁虎、蟆、犬、猫、狐、狸、鼬、鼠、
貂のたぐいで、合図をすれば必ずどこからか現われて来るから、それをすべて生けるがま....