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貝殼
「貝殼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貝殼の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「古事記」より 著者:太安万侶
獻りました。その歌は、 夏の草は萎《な》えます。そのあいねの濱の 蠣《かき》の
貝殼に足をお蹈みなさいますな。 夜が明けてからいらつしやい。 後に戀しさに堪....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
本箱が一つと、その側にオリーブの羅紗を掛けた机とがあった。いつもその上には種々な
貝殼を鏤めた筆立が置いてあって、鵞ペンでない只の美しい鳥の羽が四五本※っていた。....
「交遊断片」より 著者:豊島与志雄
だ。食ってみようじゃないか。」 そこで私達は、手頃な石を拾って、岩に密着してる
貝殼を叩き破って、中のぶよぶよした肉を取出し初めた。所が、色といい格好といい、ど....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
た子、言葉の上品なおとなしい子、……その上種々のものが眼に見えてきた、小さな手、
貝殼のような爪、柔い頬、香ばしい息、真白い細かい歯並、澄んだ真黒な瞳。――誰に似....
「常識」より 著者:豊島与志雄
婚して下されば、私は助かるんだけれど……。私は立止った。彼の蒼白い整った横顔が、
貝殼のように冷たく見えた。そして率直な厚かましい眼付が、たじろぎもしなかった。そ....
「月かげ」より 著者:豊島与志雄
ずにか、彼はやはりにこにこ独り笑いをして、うっとりと空を見つめていた。その眼が、
貝殼のような濁った光りではあるが、それが却って一寸美しかった。見ているうちに、私....
「人の国」より 著者:豊島与志雄
細かい縮れ髪の中で、宛も海藻の中に浮いている、小さな水母のように見えたり、生きた
貝殼のように見えたりした。光の加減かなんかで、そういう二つの変化を鼻っ先の耳が示....
「窓にさす影」より 著者:豊島与志雄
地袋の上の棚から鴨居の高さまでが、窓になっている。地袋の棚には、人形、木彫細工、
貝殼、大小さまざまな箱、硯箱など、ごたごたと私は並べている。その後ろが窓で細い桟....
「竜宮」より 著者:豊島与志雄
病気の魚貝類が身を寄せて、静かに死んでゆく。だから、その白砂の上には、魚の骨や、
貝殼や、宝石みたいな小石が、美しく洗い清められて、夥しく積っている。 この魚の....
「その年」より 著者:宮本百合子
思わず、 「へえ!」 と目を瞠《みは》って、わが家の背戸をふりかえった。あさりの
貝殼が散っている小溝のふちに野茨が一株、小菊が三四株植って、せま苦しい扇形にひろ....
「道標」より 著者:宮本百合子
食べている人々のとおりに、生カキをたべた。あたりの人のたべかたをまねして、カキの
貝殼を手にもち、そこにたまっている汁を吸ったとき、それはつめたく爽《さわ》やかで....
「長崎の一瞥」より 著者:宮本百合子
が懸って居る。其こそ我々を興がらせた。遠見に淡く海辺風景を油絵で描き、前に小さい
貝殼、珊瑚《さんご》のきれはし、海草の枝などとり集めて配合した上を、厚く膨《ふく....
「猫車」より 著者:宮本百合子
いてやり、どこかへ運ぶ塩俵のつんであるねこぐるまの置いてあるわきの丸っこ石の上で
貝殼を叩き砕いては、小舎の中へなげた。 裏から見ると、庄平の店と住居とは、麦畑....
「春」より 著者:宮本百合子
るほど綺麗に感じられた。瑞々しい、青い、四月の菊の葉に照って、薄桃色の、質のよい
貝殼のような嘴、黒|天鵞絨《ビロード》のキャップをのせた小さい頭、こまやかな鼠灰....