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貝細工
「貝細工〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貝細工の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
惹きつけたのであった。 奥山にはかの驢馬のほかに、菊川国丸の蹴鞠、淀川富五郎の
貝細工などが評判であるので、それらも話の種に見物する予定であったが、巾着切りの一....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
のころの銀座は香具師の巣である。二丁目の熊の相撲、竹川町の犬の踊り、四丁目の角の
貝細工、その他、砂書き、阿呆陀羅、活惚、軽業なぞのいろいろな興行で東京見物の客を....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
から汗が流れる。桟橋にはいろいろの物売りが出ている。籐のステッキ、更紗、貝がら、
貝細工、菊形の珊瑚礁、鸚鵡貝など。 出帆が近くなると甲板は乗客と見送りでいっぱ....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
れてぶらぶら歩いていた。 新年用の盆栽を並べた露店が、何軒となくつづいている。
貝細工のような福寿草よりも、せせこましい枝ぶりをした鉢の梅よりも、私は、藁で束ね....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
にずっこけそうに、帯を結んだ姿。これを道場の連中に見せたら、なんというでしょう。
貝細工のようだった指も、今は水仕事にあらくれて、 「サアサア、どうぞ。ええええ、....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
シナの庭園も本来は自然にかたどったものではあろうが、むやみに奇岩怪石を積み並べた
貝細工の化け物のようなシナふうの庭は、多くの純日本趣味の日本人の目には自然に対す....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
外をドライヴする。坂・植物・狭い|大通り・不可思議な活動常設館・両側の土産物店・
貝細工・卓子掛け・西班牙肩絹・大櫛・美人画・闘牛士装束など。ムウア土族の市場を見....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
は英吉利直輸入の婦人煙草「|仕合せな夢」を喫かしつづけた。そして爪を三角に切って
貝細工の光沢を模倣するのに午前いっぱいかかった。 4 私達はマルセイ....
「現代若き女性気質集」より 著者:岡本かの子
○牡丹や桜のように直ぐ散ってしまう花には同情が持てない。枯れてもしがみ付いている
貝細工草や百日草のような花に却って涙がこぼれる。 ○ラグビーを見ているときだけ男....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
げている。紅い布が半開の牡丹のように畳にこぼれて、油を吸った黄楊《つげ》の櫛が、
貝細工のような耳のうしろに悩ましく光っている風情《ふぜい》、散りそめた姥桜にかっ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
…ほんとににくらしい情《じょう》なしだ」
浴衣《ゆかた》をかさねた丹前の裾に、
貝細工のような素足の爪をみせて、凝然《ぎょうぜん》とたちすくんでいる櫛巻お藤、艶....
「魔像」より 著者:林不忘
は、お燗《かん》を引き上げた指先を、熱かったのだろう、あわてて耳へ持って行って、
貝細工《かいざいく》のような耳朶《みみたぶ》をつまみながら、 「そうかえ。それは....
「土から手が」より 著者:牧逸馬
巾《タアバン》のような黒い麦藁。青い打紐《ブレイド》のリボンが巻いてある。多色の
貝細工飾りピン。 外套――紺色ポリヴィア地の裾長きもの。ラグラン袖、ゆるやかな....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
の上の琥珀貝の帆前船にも、確かに触《ふ》れた覚えがある。薄い、冷《ひや》りとして
貝細工の感触が今でも指先にあるような気がする。 最初、あの絵を見たとき、その中....
「嫁入り支度」より 著者:神西清
モスリンの長い服をきて、金色のベルトをしていたが、そのベルトには忘れもしない、青
貝細工の扇がさがっていた。娘ははいって来て、席につくなり、ぽっと赤くなった。赤く....