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「貞淑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貞淑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
なる君はその後《ご》のこともおのずから推察出来るであろう。ダアワは爾来《じらい》貞淑《ていしゅく》に僕等四人を愛している。僕等も、――それは言わないでも好《い》....
妙な話」より 著者:芥川竜之介
が二度までも私と、中央停車場に落ち合うべき密会《みっかい》の約を破った上、永久に貞淑な妻でありたいと云う、簡単な手紙をよこした訳が、今夜始めてわかったからであった。………… (大正九年十二月)....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
の台石を見出すのである。「わたしは白蓮女史ほど美人ではない。しかし白蓮女史よりも貞淑である。」「わたしは有島氏ほど才子ではない。しかし有島氏よりも世間を知ってい....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
××胡同《ことう》の社宅に止《とど》まり、忍野氏の帰るを待たんとするよし。吾人は貞淑《ていしゅく》なる夫人のために満腔《まんこう》の同情を表《ひょう》すると共に....
或る女」より 著者:有島武郎
葉子の心の中は倉地の妻の事をいい出そうとする熱意でいっぱいになっていた。その妻が貞淑な美しい女であると思えば思うほど、その人が二人《ふたり》の間にはさまっている....
幸運の黒子」より 著者:海野十三
、主たる動機は半平という男が細君に死別してからまる二年この方、空閨《くうけい》を貞淑に守りつづけているのを見ちゃいられなかったせいだった。そして半平は、あくまで....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
較的未開なフィンランド種族の物語によって記録されている。この伝説によると『自然の貞淑な娘』であるところのイルマタール(Ilmatar)が蒼い空間の中に浮び漂うて....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
獄の言葉とよりしか響かなかった。 父が死んで荷を卸した感じに見えた母親は、一方貞淑な未亡人であり乍ら、いくらか浮々した生活の余裕を採り出した。 「面白いことは....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
やりして半分は夢のような心持であった。三年越し連れ添って、なんの変ったこともない貞淑な妻が、どうしてそんな事をしたのか。さりとて将軍の詞に嘘があろうとは思われな....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
語も終ったわけであるが、四方木田鶴子は妖婦というのでもなく、彼女は古神のためには貞淑な忠実な側妾だった。 後に分ったことであるが、古神は或る時、吸血の快楽を知....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
一目見ても知れる、濃い紫の紋着で、白襟、緋の長襦袢。水の垂りそうな、しかしその貞淑を思わせる初々しい、高等な高島田に、鼈甲を端正と堅く挿した風采は、桃の小道を....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
若し伺えたら伺ってみたいのです。紫式部という方はどんな方ですか。世間の噂の通り、貞淑堅固の御婦人ですか、それとも内心には、ちっとは人の情熱に動かされ易い熱情的な....
荘子」より 著者:岡本かの子
りょうも痩せては居るが美しかった。荘子もこの妻を愛して居る。だが、荘子はこの妻の貞淑にもまた月並な飽足りなさを感じるのだった。つまり貞淑らしい貞淑は在来の「道ら....
軽女」より 著者:上村松園
ころから、酒に親しみ出し、祇園に遊んで放縦の日々を送るようになり、果ては最愛の、貞淑のほまれ高い内室までも離別して、豊岡の石束家へ返してしまった。 その後の遊....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、こうなっては問題ではない。高武蔵守師直という無道人に魅られた、塩冶の奥方という貞淑の婦人は、丹波路の名も知れない小さい村の百姓家で、その若い命を焼かれてしまう....