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貞節
「貞節〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貞節の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
――メリイ・ストオプス夫人によれば女は少くとも二週間に一度、夫に情欲を感ずるほど
貞節に出来ているものらしい。
年少時代。――年少時代の憂欝《ゆううつ》は全宇宙....
「或る女」より 著者:有島武郎
様の喜びでまだ葉子を喜んではいる。それに疑いを入れよう余地はない。けれども美しい
貞節な妻と可憐《かれん》な娘を三人まで持っている倉地の心がいつまで葉子にひかされ....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
におられるだろうか) 新一郎は、東京に出てからも、時々そう考えた。 お八重に
貞節を守っているわけではなかったが、新一郎もまだ結婚しないでいた。先輩や同僚から....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
をよんで、初めて父の横死の子細を語って、仇討の一儀を誓わしめたというのであった。
貞節悲壮な母子に対する賞賛は、江戸の隅々にまで伝わった。 嘉平次が、敵の鈴木源....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
くまじめでいられよう! といい、物々交換の精神は至るところに現われている。義だ!
貞節だ! などというが、真善の小売りをして悦に入っている販売人を見よ。人はいわゆ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
目の女性だったので、既にその恋が破られてあらぬ人の妻になってからは、努めて良人に
貞節を尽くし、主水との恋は心の墓場に潔く葬ることにした。しかし主水と庄八郎とは血....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
潜々と涙をながして、逞しき夫の胸にすがりつくのであった。 そうしたヒルミ夫人の
貞節が、万吉郎に響いたのであろうか、ヒルミ夫人の観察によればこの頃夫の万吉郎は、....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
不自由しなかった。美しい男振に想を懸け、進んで嫁いで来たお信乃であるから、彼への
貞節は云う迄も無い。子供の松太郎も美しく生い立ち、前途の憂などは更に無かった。 ....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
、深夜に廓を抜け出して、市中を横行した当時の覇気を、兄の死と一緒に封じ込み、ただ
貞節の妻として奈良茂に仕えたということであった。....
「光は影を」より 著者:岸田国士
まらぬ気兼ね、遠慮が先に立つているからに過ぎぬのではないか? それとも、彼女は、
貞節な妻というほこりを後生大事にして、あらゆる不当な境遇に甘んじているのであろう....
「想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
以上、その画の具にあくまで仕えなくてはならないような気もするのだろうが、そういう
貞節は馬鹿々々しい。美術の事はもっと上の事、「美」に対して本当に仕える事を知るな....
「愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
の妻が頼みに行った所だった為めに、すぐ解決する事が出来た。父は私の窮状と私の妻の
貞節を聞いて涙を流した。そうして私達の隠家たる裏長屋に飛び込んで来たのだった。 ....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
いが遂には火となり、その霊は夫のもとへ飛ぶのであります。私はこの館の妻の夫を想う
貞節の姿を「砧」の絵の中に写しとってみたのであります。 想いを内にうちにと秘め....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
と思います。中世の人はもっと上品であったように見えます。私はモンナ・バンナが夫に
貞節を証するために、「私の眸を見て下さい」というのを実に純潔な表現と思いました。....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
た。これは二代目河竹新七が巡査の保護、士族の乳貰、按摩の白浪、天狗の生酔、娼妓の
貞節、楠公の奇計という六題を五幕の世話狂言に脚色したもので、その正本は――その頃....