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負けん気
「負けん気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
負けん気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
想いで、わしの腸はこんなに螺の貝のように捻じ巻いたのじゃないか」と山の祖神の翁は
負けん気の声を振り立てていった。「だが、親子の縁は切り度くないもんじゃよ」 と....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行|濶歩《かっぽ》するのを憎らしいと思って
負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した。すると猿股の勢力は....
「三月の第四日曜」より 著者:宮本百合子
分んねかったんだもの」 「――うち変りなしか?」 「うん。母ちゃんが、姉ちゃんに
負けん気だして、辛《こわ》えの無理しんなって、よ。帰《けえ》りたかったらいつでも....
「伸子」より 著者:宮本百合子
た。思い出すのは、自分の真心を信じさせようと熱心に佃を説きつけている自分、絶望を
負けん気で覆い紛らそうと力んでいる自分、さもなければ、暗い焔のような男と女のこと....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
ったのが筆者の母親で、痛快な、男らしい意味では筆者よりも数十層倍、深刻な印象を、
負けん気な母親の頭にタタキ込んでいる筈であるが、この男の伝記は後日の機会まで廻避....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
であったらしい。 ◇ 筆者の祖父は馬鹿正直者で、見栄坊で、
負けん気で、誰にも頭を下げなかったが、しかし只圓翁にだけはそれこそ生命がけで心服....
「新しい船出」より 著者:宮本百合子
ても今日と明日との変転に処して人間らしい成長を保ってゆけまいと思う。世俗な勝気や
負けん気の女のひとは相当あるのだけれども、勝気とか
負けん気とかいうものは、いつも....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
久米の云っているところなどでは、彼は、人のよむものは何でもよんでおけというような
負けん気で古典もよんだりしたらしい風ですね。
平林初之輔が、自然科学に入口の知....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
トゲをなくしてかえったのは、あのひとの仕合わせよ。すこし利口な女が、やや逆境で、
負けん気をもてば、狭い井の中でひがむのはさけ難いことですから。まあ私の親切の理解....
「光は影を」より 著者:岸田国士
勉強ぶりは、思つたより真剣で、記憶のわるさを補う子供のような素直さと野心家独特の
負けん気とで、教える方でも、わりに張合いがあつた。 ひと通り句切りがつくと、時....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
を斬るほど血気にはやらないことも知っている。また例のおどしだと思ったものだから、
負けん気の千太、ふふんと鼻で笑って、なにをしゃらくせえ、と言うつもりなのが、ただ....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
、向うがからかい半分に無理|強いした酒に、お前は恐ろしく酔ってしまって、それでも
負けん気で『江戸桜』か何か唄って皆をアッと言わせた、ね、覚えてるだろう」 「そう....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
ったが一年一度の制作を年のせいで間に合わせなかったなどと思われるのが残念さから、
負けん気を起こして、これもまる一週間徹夜をつづけた。恐らくこれが私の強引制作の最....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
とけしかけられて渡った。一緒にいた従兄の井口知一君が最初に渡ったものだから、私も
負けん気になって渡り、ご愛敬にも途中でしゃがんで樋の中にあった小石を拾って谷間に....
「福沢諭吉」より 著者:高山毅
かりで、諭吉がいちばん年上ですから、たいへんきまりがわるいことでした。けれども、
負けん気のつよい諭吉は、 「なあに、いまにみろ、みんなにおいついてやるから。」 ....