財物[語句情報] »
財物
「財物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
財物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「運」より 著者:芥川竜之介
でも、思わず肚胸《とむね》をついたそうでございます。
「物にもよりますが、こんな
財物《たから》を持っているからは、もう疑《うたがい》はございませぬ。引剥《ひはぎ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かくも身代押えを急いでいるのは、弥太一の言ったごとく、役向き権限を悪用して巧みに
財物を私しようとのよからぬ下心であることが、すでにその一事だけで一目瞭然でしたか....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
した。 五 水が減ずるに従って、後の始末もついて行く。運び残した
財物も少くないから、夜を守る考えも起った。物置の天井に一坪に足らぬ場所を発見して....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ました。わたくしの若いときは放蕩無頼の上に貧乏でもありましたので、近所の人びとの
財物を奪い取った事もしばしばあります。馬に乗り、弓矢をたずさえ、大道を往来して旅....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
もって子女を惑わしたという罪に問おうとすれば、娘も最初から共謀である。さりとて、
財物を奪ったとか、拐引を働いたとかいうのでもない。結局、その娘も男も姦通の罪に処....
「運命」より 著者:幸田露伴
ば王|射猟して地勢を周覧し、禽を得れば将士に頒ち、塁を抜くごとに悉く獲るところの
財物を賚う。南軍と北軍と、軍情おのずから異なること是の如し。一は人|役に就くを苦....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
獄屋のなかに押し込んで置いた。 夜が明けると、昨夜三更、張府に盗賊が忍び入って
財物をぬすみ、府門に「我来也」と書いて行ったという報告があった。 「あぶなくこの....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、身は寸断に切り刻まれても、魂は遂に滅びざる江戸ッ児の性根をそのままなる、ここに
財物を抛ってもの値打ちはあるのだ。 仙台鮪は黒味なものと心得、肉さえ赤ければ近....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
それはそれは明細なことで、人の頭の一つや二つぐらい平気で擲るくせに、事いやしくも
財物に関するときは、一毫の微一塵の細といえども、決して決して疎略にはせぬのである....
「死者の書」より 著者:折口信夫
かりの浄域だけに、一時は、塔頭塔頭の人たちの、青くなったのも、道理である。此は、
財物を施入する、と謂ったぐらいではすまされぬ。長期の物忌みを、寺近くに居て果させ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
かし彼は小栗上野と少からぬ縁故があって、当時も目立たぬ存在であっただけに、幕府の
財物隠匿にむしろ重要な一役を演じているのではないかということが一部の消息通に取沙....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
自分の愛している人のところへ立ち帰るものです。 吝嗇な人間が生前に隠して置いた
財物の附近に、夜中徘徊するというのもやはりこのわけです。この人たちは自分の黄金に....
「雪の宿り」より 著者:神西清
のが、この桃花坊の火、また小笠原殿の余炎に懸って片端より焼け上り、妻子の手を引き
財物を背に負うて、行方も知らず右往左往いたした有様、哀れと言うも愚かであったと人....
「法学とは何か」より 著者:末弘厳太郎
り得るのである。 理解を助けるために一つの例を引くと、刑法第二三五条の「他人ノ
財物ヲ窃取シタル者ハ窃盗ノ罪ト為シ十年以下ノ懲役二処ス」という規定のように、一見....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
ら極端にいえば、武士大名とエタ非人との中には、その先祖が落伍した時に、人を殺し、
財物を強奪しえたか、それをなしえなかったかという相違によるといってもよい場合もあ....