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「貧民〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貧民の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
くではあるが冴《さ》え冴えと聞こえてきた。 おぬいさんの家の界隈《かいわい》は貧民区といわれる所だった。それゆえ夕方は昼間にひきかえて騒々しいまでに賑《にぎ》....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
れば振興する見込のない一般経済界の状態は何を語るか。財産とともに道徳心をも失った貧民と売淫婦《ばいいんふ》との急激なる増加は何を語るか。はたまた今日|我邦《わが....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
なく深く善い愛の所有者であり使役者であった。四十日を荒野に断食して過した時、彼は貧民救済と、地上王国の建設と、奇蹟的能力の修得を以ていざなわれた。然し彼は純粋な....
五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
着いた。泥濘にごった返した土を見た時、帰らなければよかったと思った。銀座を歩くと貧民窟のような汚なさを感じた。飾ってある人形の衣裳を見ても毒々しくてちっとも美の....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
更、家蔵に替えましたッて、とそう思ったのでございます。 公子 貴女の父は、もとの貧民になり下るから娘を許して下さい、と、その海坊主に掛合ってみたのですか。みはし....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
う。だがそういうしごとは、ちょっくりはこぶものではありません。すぐまえの青建物の貧民学校から、総出でくる、すぐそばの海員地区からも、つながってくる、このお仕置台....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
むべきかという問題に出会ったわけだが、彼は遂に断乎として後者を撰んだのだ。そして貧民として一生を終ったのだ。しかしこれが為め英国の学術上の名声を高めたことは幾許....
迷信解」より 著者:井上円了
の定まれるを聞きたれば、財産を残すの必要なきを悟り、これをことごとく人に施与して貧民の救助に用いたり』と。筮者曰く、『その一言にて疑いを解けり。足下は人を救助せ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
るにはあるが、二葉亭は一切の罪人や堕落者の罪悪を強て肯定する気味合があった。殊に貧民に対しては異常な同感を払って、もし人間から学問技芸等のお化粧を奪って裸一貫の....
芸術三昧即信仰」より 著者:上村松園
で、考えてみればはや二十年ばかりも前のことである。 そんな時分にはよくわたしは貧民街を歩いたりした。そして画を描いて苦しんでいるよりも、こうした人達が何となく....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
そのほか、寺の堂内の柱には必ず数個の銭箱を掛くるを見る。その箱の上には、あるいは貧民のためと書し、あるいは廃疾病人のために、あるいは寺院建築費・内陳修繕費・旧債....
西航日録」より 著者:井上円了
喫し、終日遊歩してロンドンに帰る。 十一日午前、有吉領事に伴いて、ロンドン東部貧民窟を一覧す。ここに貧民のために設置せられたる学校、病院、工場、博物館、図書館....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ごときも、近く接見すれば決して美ならず。室内は不潔の家多く、路上には敝衣を着たる貧民多く、ロンドン東部の窮民窟を見るがごとし。街路は一般に狭隘にして、電鉄縦横に....
耳香水」より 著者:大倉燁子
られる時間に、必ず貧しい人達を訪れて、若干の金を恵んで行く男があるというのです。貧民窟を潤して煙のように消え去るその人の感じが、いかにも鼠色というのに相応しかっ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
、その日朝暗いうちから人がわんさと押しかけて皆餞別の贈り物をしました。その多くは貧民や苦力どもで、皆手に手に乾鶏等を贈ってその行を惜しんだのです。あの時の有様は....