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貧民窟
「貧民窟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貧民窟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放浪」より 著者:織田作之助
の木下の住いを探し当てた。弁護士になっているだろうと思ったのに、そこは見るからに
貧民窟で、木下は夜になると玉ノ井へ出掛けて焼鳥の屋台店を出しているのだった。木下....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
りで僕はまた仲間はずれになってしまった。この仲間というのは、町はずれの、ちょっと
貧民窟といったようなところの子供等だった。 この家の裏に広い竹藪があった。栗だ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
五六台の一輪車が追手に帆をあげた。 そして、
貧民窟を横ぎった。塵埃の色をした苦力が一台に一人ずつそれを押していた。たった一本....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ところを五十サンティム奮発してはいって見ると、そこは本当の綺麗な西洋便所だった。
貧民窟の木賃宿だから、などと、日本にいて考えてはいけない。その後、パリのあちこち....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
着いた。泥濘にごった返した土を見た時、帰らなければよかったと思った。銀座を歩くと
貧民窟のような汚なさを感じた。飾ってある人形の衣裳を見ても毒々しくてちっとも美の....
「父」より 著者:金子ふみ子
る学校だったのだ。私はそこに通うことになった。 学校といえば体裁はいいが、実は
貧民窟の棟割長屋の六畳間だった。煤けた薄暗い部屋には、破れて腸を出した薄汚い畳が....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ず、そのままどこかへ片寄せられ、怪我人は介抱もされないのであった。 この一画は
貧民窟ではあったが、また罪悪の巣でもあり、悪漢や無頼漢の根城なのでもあった。 ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
。その時藤久君はとうとう救世軍に入っていた。君の気性は街頭に立って太鼓をたたき、
貧民窟を訪うて苦しみを救いつつ、主の教えを説くところまで行かねばおさまらなかった....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
上河岸へ出られ、南のはずれを少し行けば、有名な幕府のお舟蔵となる。そういう空地へ
貧民窟のような、穢らしい小家がゴチャゴチャと立ち、狭い露路が無数に通っているかと....
「西航日録」より 著者:井上円了
喫し、終日遊歩してロンドンに帰る。 十一日午前、有吉領事に伴いて、ロンドン東部
貧民窟を一覧す。ここに貧民のために設置せられたる学校、病院、工場、博物館、図書館....
「星の子」より 著者:小川未明
りは、一|面に煙るように青白い月の光にさらされています。この河のふちは、一|帯に
貧民窟が建て込んでいて、いろいろの工場がありました。どの工場の窓も赤くなって、そ....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
なかった。ただ一人賀川豊彦のみが知っていた。 賀川豊彦はコーヒーを呑み過ぎて、
貧民窟の暑い夜、一晩寝られないで、苦しんだあげ句、自分自らを市長に推挙し、大阪の....
「世間師」より 著者:小栗風葉
入ると、なるほど山本屋という軒行灯が目に入った。 貝殻を敷いた細い穢い横町で、
貧民窟とでもいいそうな家並だ。山本屋の門には火屋なしのカンテラを点して、三十五六....
「特殊部落と細民部落・密集部落」より 著者:喜田貞吉
るから、この名称もまた妥当とは言いにくい。 最近の新聞を見ると、しばしば普通の
貧民窟の事を、細民部落とも密集部落とも書いた場合がある。これ実に真を得たもので、....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
られる時間に、必ず貧しい人達を訪れて、若干の金を恵んで行く男があるというのです。
貧民窟を潤して煙のように消え去るその人の感じが、いかにも鼠色というのに相応しかっ....