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「貧窮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貧窮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
顔を見せた。なかなかのしゃれ者で、寸分のすきもない身なりをしていた男が、どこかに貧窮をにおわすようになっていた。カラーにはうっすり汗じみができて、ズボンの膝《ひ....
星座」より 著者:有島武郎
あらじ。しかも古人の蹟を一顧すれば、たちまち慚汗《ざんかん》の背に流るるを覚ゆ。貧窮《ひんきゅう》、病弱《びょうじゃく》、菲才《ひさい》、双肩《そうけん》を圧し....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
迫を感じて来ていた君の家は、親子が気心をそろえ力を合わして、命がけに働いても年々貧窮に追い迫られ勝ちになって行った。 親身な、やさしい、そして男らしい心に生ま....
クララの出家」より 著者:有島武郎
た姿は、霊化した彼れの心をそのまま写し出していた。長い説教ではなかったが神の愛、貧窮の祝福などを語って彼がアーメンといって口をつぐんだ時には、人々の愛心がどん底....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の代に、一行という高僧があって、深く皇帝の信任を得ていた。 一行は幼いとき甚だ貧窮であって、隣家の王という老婆から常に救われていた。彼は立身の後もその恩を忘れ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の偽物を売りはじめたが、偽物では効き目がないので、自然に買う者もなくなった。彼は貧窮のうちに晩年を送って、ひとり息子は乞食になった。 彼がほん物の万歳丹を作っ....
」より 著者:金子ふみ子
なり裕福に暮していた祖父のもとでわがままな若様風に育てられたところから、こうした貧窮の間にもなお、私をその昔のままの気位で育てたのに違いなかったのである。 私....
家なき子」より 著者:楠山正雄
はちょうど長男のマチアのために洗礼式を上げようとしている。今夜わたしのやしきには貧窮であった時代の友だちが集まって、いっしょに洗礼式を祝おうとしている、わたしの....
女性の諸問題」より 著者:倉田百三
にせんとも死なめと云ひて寄る妹にかそかに白粉にほふ これは大正時代の、病篤き一貧窮青年の死線の上での恋の歌である。 私は必ずしも悲劇的にという気ではない。し....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
ても、実に死ぬか生きるかの問題である。 民衆にも二種の民衆がある。其の一つは、貧窮から遁れ出て、直ちに紳士閥に心を惹かれ、紳士閥に吸収されて了ったものである。....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
千という弟子を取り、幕府或は諸侯から後援せられているに関らず、秋岡陣風斎は浪宅に貧窮の生活をつづけていて、弟子と云っては実に自分一人だ。其処が併し偉い点だ。わざ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
つまずいて以来、この不幸なドン・アントニオは急速に没落してゆき、四面楚歌のなかで貧窮に苦しむ身の上であった。ポルトガルの大衆が自分のために蜂起するだろうという彼....
革命の研究」より 著者:大杉栄
その子供等が餓えに泣くのを聞き、餓え疲れて死ぬのを見たものだけが、橋の下に寝ね、貧窮のあらゆる危惧とあらゆる屈辱とを受けたものだけが、紳士どもがホテルで寝ている....
愛に就ての問題」より 著者:小川未明
為めに失敗する事はなかったであろう。 私はこの社会に於て弱者に対して、若しくは貧窮者に対して、これを救うという場合に、単にそれを気の毒だから助けてやるとか、若....
旃陀羅考」より 著者:喜田貞吉
人は自身それを歌っておられぬのみならず、かえって自ら旃陀羅の子なりと云い、今生は貧窮下賤の者と生れたと云い、人身に似て畜身なりと云い、身は畜生の身なりとまで言っ....