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貪食
「貪食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貪食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「沓掛より」より 著者:寺田寅彦
どをくちばしで引ったくって頬張る事を覚えてしまった。いくら食わせてもなかなかこの
貪食な小動物を満足させることはむつかしいように見える。それでいいかげんに切り上げ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
猟具を用いず、むずと羽掻をしめて、年紀は娘にしていい、甘温、脆膏、胸白のこの鴨を
貪食した果報ものである、と聞く。が、いささか果報焼けの気味で内臓を損じた。勤労に....
「美醜」より 著者:豊島与志雄
それらのうちで、蚊と蝿とカミキリ虫とは、最も醜いものであることを発見した。吸血、
貪食、有害、そういう理智的なことを別にして、右の三者は、私の書斎の中を乱舞する虫....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る。けれど彼は少しも嬉《うれ》しくない。その臙脂《えんじ》や、香りや、太い腕や、
貪食《どんしょく》やで、厭《いや》になっている。今ではたいへん嫌いになっている。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
や太い鼻、つき出た強い糸切歯をそなえたまっ白な歯並が見えてる、ごく赤い小さな口、
貪食《どんしょく》的な頤《あご》、それから、丈夫な骨組みの体格のよい、大きな脂《....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
だり聞いたりしている。そういうのが、ストラスブルグの馬鹿な摂生法だ。この人民らは
貪食《どんしょく》症にかかっている。与えられるものならなんでも構わない。トリスタ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
杯、それだけで彼は山海の珍味とした。しかしそれを二人分も食べたかった。彼は自分の
貪食《どんしょく》に腹がたった。きびしくみずから責めた。腹のことばかり考えてる食....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
をもって食物のことが話される。皆その道の通人ばかりだし、また、田舎《いなか》では
貪食《どんしょく》ということが、おもな仕事でありすぐれた技術だからである。その他....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
身も自然ではありません。結婚も自然ではありません。そして自由結婚は、弱者を強者の
貪食《どんしょく》に任せるばかりです。われわれの社会そのものからして、自然なもの....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ンド、切断されたポーランド、さいなまれたロシア、ヨーロッパの狼《おおかみ》どもの
貪食《どんしょく》に委《ゆだ》ねられたアフリカ、全人類のうちの惨《みじ》めなる人....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ようとして、爪立ちながら警察署のよごれたガラス戸の前に首を伸ばした。好奇心は一の
貪食《どんしょく》である。見ることはすなわち食うことである。
中にはいるとファ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
しました。 鯨にはイワシを吸って生きているヒゲクジラと深海へもぐって大きな魚を
貪食している歯クジラと二種類あって、マッコー鯨という奴は歯クジラの中でも、特に悪....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
れが、いま北海道から届いたばかりだ。石油箱にぎっしり詰まって一杯ある。君がいかに
貪食であっても、これは食い尽くせまい。ところでだ、同好の士を語らい、これを料亭へ....
「莢豌豆の虫」より 著者:佐藤垢石
山女魚は
貪食の魚で、昆虫とかその幼虫とか、魚類の卵、みみずなど、この魚の好んで食う餌は、....
「那珂川の鱸釣り」より 著者:佐藤垢石
える。 さて、狙い場所だ。川へ遡り込んできた鱸は、海にいるときと同じように甚だ
貪食だ。真冬の間は、深い淵や瀞にひそんでいるけれど、それでも餌を追うことを忘れな....