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「貫く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貫くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
早春」より 著者:芥川竜之介
だよ。」 「君よりもか?」 「莫迦を言え。俺は二十三貫五百目さ。三重子は確か十七貫くらいだろう。」 十年はいつか流れ去った。中村は今ベルリンの三井《みつい》か....
或る女」より 著者:有島武郎
…よござんす、よござんすったら愛さん……」 自分のあとを追おうとする愛子を刺し貫くほど睨《ね》めつけておいて葉子は部屋を出た。そうして火をかけられたようにかっ....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
婆《ばば》が唱《とな》える。……これが――「姫松殿《ひめまつどの》がえ。」と耳を貫く。……称名《しょうみょう》の中から、じりじりと脂肪《あぶら》の煮える響《ひび....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ずに奪おうとしている。何んという飽くことを知らぬ烈しいそれは力だろう。 私達を貫く本能の力強さ。人間に表われただけでもそれはかくまでに力強い。その力の総和を考....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
に対するのと同様である。従って数多の太陽は各自の遊星系を従えてこの銀河の真ん中を貫く大宇宙軸のまわりに群を成している。それで銀河は実は輪状であるがちょうど天上に....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
区別がなくなり、必要なものは何でもできることになるのです。 しかしこの大事業を貫くものは建国の精神、日本国体の精神による信仰の統一であります。政治的に世界が一....
星あかり」より 著者:泉鏡花
めはせぬのに、抜足、差足、音は立てまいと思うほど、なお下駄の響が胸を打って、耳を貫く。 何か、自分は世の中の一切のものに、現在、恁く、悄然、夜露で重ッくるしい....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
。石と樹と相打って、火をほとばしらすも瞬く間、またその消ゆるも瞬く間、銃丸の人を貫くも瞬く間だ。 すべて一たびただ一|人の瞬きする間に、水も流れ、風も吹く、木....
南地心中」より 著者:泉鏡花
の美人の、練衣、紅の袴が寸断々々に、城と一所に滅ぶる景色が、目に見える。……雲を貫く、工場の太い煙は、丈に余る黒髪が、縺れて乱れるよう、そして、倒に立ったのは、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
に、粛々として続いて行く。 すぐに、山の根に取着いた。が草深い雑木の根を、縦に貫く一列は、殿の尾の、ずんぐり、ぶつりとした大赤楝蛇が畝るようで、あのヘルメット....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ごとく、良人の膚を犯すごとに、太く絶え、細く続き、長く幽けき呻吟声の、お貞の耳を貫くにぞ、あれよあれよとばかりに自ら恐れ、自ら悼み、且つ泣き、且つ怒り、且つ悔い....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て、広々とした、少しうねりのある、明るい野原にさしかかりました。私達はその野原を貫く細道をどこまでもどこまでも先きへ急ぎました。 やがて前面に、やや小高い砂丘....
化鳥」より 著者:泉鏡花
、呼吸もしないで、じっとして、石のように黙ってしまって、こう据身になって、中空を貫くように、じりっと棹をのばして、覗ってるのに、頬白は何にも知らないで、チ、チ、....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
今庄の駅が、例の音に聞えた、中の河内、木の芽峠、湯の尾峠を、前後左右に、高く深く貫くのでありまして、汽車は雲の上を馳ります。 間の宿で、世事の用はいささかもな....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、図に乗っていった。が、この巨大なる躯は、威すものにも陰気を浴せた。それら天井を貫く影は、すっくと電燈を黒く蔽って、廊下にむらむらと影が並んで、姿見に、かさなり....