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貯金
「貯金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貯金の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった。退職官吏だった、彼の父は多少の
貯金の利子を除けば、一年に五百円の恩給に女中とも家族五人の口を餬《のり》して行か....
「或る女」より 著者:有島武郎
取られてしまった。葉子はその晩倉地が帰って来た時もそれをいい出す気力はなかった。
貯金は全部定子のほうに送ってしまって、葉子の手もとにはいくらも残ってはいなかった....
「生きている腸」より 著者:海野十三
であった。彼は家庭に、マネキン人形のように美しい妻君をもってい、またすくなからぬ
貯金をつくったという幸福そのもののような医学者であった。 しかしなぜか吹矢は、....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
どうして捻出《ねんしゅつ》すべきかということだった。 これが五年前なら五千円の
貯金があった。その年の暮れ、三千円というものを費《つか》って新妻を持った。その細....
「透明猫」より 著者:海野十三
日こんなにはいるんじゃあ、さつで持っていては、強盗にしてやられるからねえ。そして
貯金が一千万円ぐらいになったら、ここへすごい常設館をたてて、大魔術とサーカスと透....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
うに見えた。君の兄上の初生児も取られていた。汗水が凝り固まってできたような銀行の
貯金は、その銀行が不景気のあおりを食って破産したために、水の泡になってしまった。....
「恐竜島」より 著者:海野十三
の場合は、夏休みをさいわいに、豪州《ごうしゅう》を見てこようと思い、かせぎためた
貯金を全部ひきだして、この旅行にあてたわけであった。ふつうなら四等船客の切符にも....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
気配もなかったことを証言する人々があった。 要するにお末は、出来るだけ働いて、
貯金を殖やすことが楽しみであったのだ。そういう女が殺人罪を犯すようなことは殆んど....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
は、陳弁に努めた。だが、彼等は、なかなか信用しなかった。彼は、思い出して、二冊の
貯金帳を出して見せた。 「ほう」 と、彼等は、目を丸くしたが、 「この
貯金帳に....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ことを号外に出した。
各国市場の株は、がたがたと落ちた。
銀行や郵便局には、
貯金を引出す人々が押掛けて来て、道路は完全にその人たちによってうずまった。自動車....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
までは一番楽な時代で、この間はずつと八百円くらいの月収があつたから、保険をかけ、
貯金をし、家具を備え、衣類を買うことができた。 昭和十三年に私が発病してからは....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ポンド近くも収入があったが、家庭で費したのはこの半分くらいとしか思われぬし、別に
貯金もしなかったからだ。ファラデーの頃には、グリニッチの天文台長の収入が年に一千....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
全く彼は呑気に、のそりのそりと牛のようにやっていたという。刑務所でこしらえて来た
貯金が、そうしたしばしの彼の生活費にあてられるらしく、それが尽きて、村の商い店へ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
に心身を打込んでいったのである。このため商売も次第に繁盛し、大正二年には二千円の
貯金もできるほどになった。私はいつまでも手工業にあまんじるべきではないと、ドイツ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
の中で死んだことを知ったりした。この先生は着物は腐れ、体は骨になっていたものの、
貯金帳だけちゃんと残っていた為にやっと誰だかわかったそうである。T先生の話によれ....