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「貴い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

貴いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
をお頭へ入れて。御出世前の大事なお身体じゃありませんか。ああ、鶴亀々々、」 と貴いものに触るように、静にその緑の艶を撫でた。 「私、出世なんかしたかないわ。髪....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
どられた雪の重なりには、熱愛をもって見きわめようと努める人々にのみ説き明かされる貴いなぞが潜めてあった。君は一つのなぞを解き得たと思うごとに、小おどりしたいほど....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
『米国書目』は米国書目中の貴重書として珍重されて時価著るしく騰貴しているが、此の貴い書目も丸善の誇りの一つであった。学術上から云ったら余り貴くないかも知れぬが左....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
い。今も、道中双六をして遊ぶのに、五十三次の一枚絵さえ手許にはなかったのだ。絵も貴い。 美女 あんな事をおっしゃって、絵には活きたものは住んでおりませんではあり....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ておいで遊ばす。」 坊主は両手で顔を圧えた。 「面目ない、われら、ここに、高い貴い処に恋人がおわしてな、雲霧を隔てても、その御足許は動かれぬ。や!」 と、慌....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れませぬ。何れにしてもこの一|事は私にとりてまことに意外な、又まことに意義のある貴い経験でございました。 激しい昂奮から冷めた私は、もちろん私の守護霊に向って....
多神教」より 著者:泉鏡花
)今……夜……が、満……願……でございました。 神職 (御堂を敬う)ああ、神慮は貴い。非願非礼はうけ給わずとも、俗にも満願と申す、その夕に露顕した。明かに邪悪を....
狂人日記」より 著者:秋田滋
大切なものは戸籍だ。人を護るものはこれだ、戸籍だ。人は戸籍に登録されているために貴いのだ。戸籍を、法律上のこの神を、崇めよ、跪け! 国家は、戸籍を変える権能を....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
は一日中画のことでいっぱいです。夜は殊にそうでございます。私の一日のうちで、一番貴い時は、眠りに入る前の四、五十分の時です。若い時から私は床に入ると、新聞か雑誌....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
方、なぜおじぎをなさらないの。さっきは、法界屋にも、丁寧に御挨拶をなすったのに、貴いお上人さんの前にさ――」 「おちかさん。」 多津吉は、盥のごとき鉄鉢を片手....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
しめられ侮られているが、世間を呑込んで少しも疑懼しない気象と、人情の機微に通ずる貴い同情と――女学校の教育では決して得られないものを持ってる。こういう女に多少の....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
った。「何でも書物は一生の中に一度役に立てばそれで沢山だ。そういう意味で学術的に貴いものなら何でも集めて置く、」と書棚の中から気象学会や地震学会の報告書を出して....
わが母を語る」より 著者:上村松園
は、ずばっとやり、わが身辺には、心を使って無駄をしない。この心がけはいつの世にも貴いものだと思います。私も母に特に言い聞かされたというのではないのですが、見よう....
日本画と線」より 著者:上村松園
申しますと、線だけで最も巧妙に出来た日本画は、まず色彩を施す必要のない程その画が貴い価値のあるものであろうと思います。こういう画には却って色彩を施すことはむだな....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
な善良な公明正大な友であってくれる。――君を、君たちを、僕のためにどんなに大切な貴いものであるか知れない君たちみんなを、僕が忘れてしまうことがあり得るなどとは、....