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貸家札
「貸家札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貸家札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三四郎」より 著者:夏目漱石
げ》の柱が二本立っている。扉《とびら》は鉄である。三四郎がこれだと言う。なるほど
貸家札がついている。 「こりゃ恐ろしいもんだ」と言いながら、与次郎は鉄の扉をうん....
「卵」より 著者:夢野久作
れは露子さんの一家が引き移って来てから間もない或る日の事でしたが、その時には、今
貸家札を貼ってあるあたりの二階の障子を何気なく開いて、欄干《らんかん》からこちら....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
右端の家であった。左端の家はもう休んだのか窓にはカーテンが掛り、真中の家は暗くて
貸家札が貼ってあった。三四郎の家の前まで来ると、美木はもう顫え上って動こうとしな....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ら、彼等は細君に別を告げねばならなかった。別を告げて、門を出て見ると、門には早や
貸家札が張られてあった。
彼等夫妻は、当分加勢に来てくれると云う女中を連れ、手....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
かない鼓の与の公。 おっかなビックリで訪ねて行った尺取り横町のお藤姐御の家には
貸家札がななめに貼られて……。 近処の人に、それとなく聞いてみると、 「サア、....
「牡丹」より 著者:宮本百合子
ている並木の下に、赤い小旗などごちゃごちゃ賑やかな店つき、さてはその表の硝子戸に
貸家札を貼られた洋館などを見渡すと、どうやら都離れて気が軽やかになり、本当の別荘....
「貸家探し」より 著者:林芙美子
つきあたった処に蔦《つた》の這った碁会所《ごかいじょ》のような面白い家があって、
貸家札がさげてあるのが眼にはいった。私はもう暗くなりかけたのに、「貸家があります....
「田舎者」より 著者:豊島与志雄
したが、暫く行くのを差控えて、その代りに、バーの方を訪れてみた。戸が閉っていて、
貸家札がはってあった。岸本はその前に暫く佇んで、それから、大通りを、明るい方へとやたらに歩いてみるのだった。....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
だ! 寝泊りだ! ある時ある所で三日泊まった。四日目の夕方帰って来た。 と、
貸家札が張られてあった。 「鳥は逃げた!」と私は云った。 「オフェリヤ殿、オフェ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
りましょう。そう思うと心が軽くなります」
声がだんだん遠のいて行く。
「おや、
貸家札が張ってあるよ。四軒揃って空家だそうな。幸福にお暮らしなさりませ! 空家に....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
にぼうっと、糸のように細長い人影が立っている。 唐流をななめに貼《は》って
貸家札 黒羽二重の着流しに白っぽい博多の帯を下目に結び、左手に大業物《おおわざ....
「予審調書」より 著者:平林初之輔
、殺人の行われた空家――あなたのお宅の隣にあるあなたの持家ですね――その空家に、
貸家札がはってあるのを見て、一応中を見せていただきたいとお宅の裏口に洗濯をしてい....
「指環」より 著者:田中貢太郎
た。痩せぎすの体に友禅模様の長襦袢を着た、二十四五に見える廂髪の女であった。 「
貸家札を貼って置いたから、空家と思ったのも無理はありません」 「どうもすみません....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
。 次に明治以後の句にはいろいろあるが、一句を拾い出してみると、 町淋し雨の筍
貸家札 という飄亭の句がある。この句などもちょっと俳人以外の人が見たならば何を言....
「魚紋」より 著者:吉川英治
。蝋燭の白い斑点も、畳の下の秘密となった。 碁会所だったそこの小門に、やがて、
貸家札が貼られた。――それから数日の後である。もう夏めいた月の冴えであった。 ....