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貸本
「貸本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
貸本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。彼のこう言う困難をどうにかこうにか脱したのは第一に図書館のおかげだった。第二に
貸本屋のおかげだった。第三に吝嗇《りんしょく》の譏《そしり》さえ招いだ彼の節倹の....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
人とも、学校の方もよく勉強したが、小説もずいぶんよく読んだ。坂上にちょっとした、
貸本屋があった。そこから借りて来るのだが、しばらくの間にその、
貸本屋の本をほとん....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いことを訊いた。 「主人は嫌いだが、奥では読むらしい。じきこの近所の田島屋という
貸本屋が出入りのようだ」 「あのお屋敷のお寺は……」 「下谷の浄円寺だ」 「浄円....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
双紙を借りて読もうということになって、お仙がそのお使を云い付かって、牛込辺のある
貸本屋を入れることになりました。 どこの大名でも旗本でも下屋敷の方は取締りがず....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
方でもこの兄妹の顔をみれば打ち解けて話などをしていた。 もう一人は上田屋という
貸本屋の主人であった。上田屋は江戸時代からの
貸本屋で、番町一円の屋敷町を得意にし....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
そこを覗いているのだが、枝ごし葉ごしの月が、ぼうとなどった白紙で、木戸の肩に、「
貸本」と、かなで染めた、それがほのかに読まれる――紙が樹の隈を分けた月の影なら、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、お泊宿の軒行燈が見える。 お泊宿から、水道橋の方へ軒続きの長屋の中に、小さな
貸本屋の店があって……お伽堂……びら同然の粗な額が掛けてある。 お伽堂――少々....
「あのころ」より 著者:上村松園
来るのです。 北斎の※絵 母は読み本が好きで、河原町四条上ルの
貸本屋からむかしの小説の本をかりては読んでいられたが、私はその本の中の絵をみるの....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
相応に流行して読まれたが、生活が約しかったのと多少の閑があったのとで、買うよりは
貸本屋から借りては面白いものは丸写しか抜写しをしたものだ。殊に老人のある家では写....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
きいちゃん。」と言って部屋の内を※すと、ぼんぼん時計、花瓶の菊、置床の上の雑誌、
貸本が二三冊、それから自分の身体が箪笥の前にあるばかり。 はじめて怪訝な顔をし....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
くそのままなんです。 ――「魔道伝書」ようございますか、勿論、板本でなし、例の
貸本屋を転々する写本でなく、実にこの婆さんの兄の間淵が秘蔵した、半紙を部厚に横綴....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
なかった。が、小説雑著は児供の時から好きでかなり広く渉猟していた。その頃は普通の
貸本屋本は大抵読尽して聖堂図書館の八文字屋本を専ら漁っていた。西洋の物も少しは読....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いことであった。今日と違って、脚本などというものは滅多に出版されていない。下町の
貸本屋のうちには、むかしの正本の写本を貸す店が稀にはあると聞いているが、山の手の....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
わりながらであるが読んでいた。(これが私の西洋の小説を読んだ初めで。)であるから
貸本屋の常得意の隠居さんや髪結床の職人や世間普通の小説読者よりは広く読んでいたし....
「今日になるまで」より 著者:上村松園
の賞の字も磨滅して分らなくなってしまいました。 母はなかなか読書が好きでいつも
貸本屋から借りた本が置いてありましたので、自然私もそれを読みました。 又綴り本....