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賃銭
「賃銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
賃銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
けさ》九時前後に人力車《じんりきしゃ》に乗って会社へ行った。すると車夫は十二銭の
賃銭《ちんせん》をどうしても二十銭よこせと言う。おまけに俺をつかまえたなり、会社....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
いほど、ただ無性に胸が迫って、けげんな顔をしている車夫の手へ、方外《ほうがい》な
賃銭を渡す間も惜しいように、倉皇《そうこう》と店先の暖簾《のれん》をくぐりました....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
建場《たてば》なる石動《いするぎ》まで、四里八町が間を定時発の乗り合い馬車あり。
賃銭の廉《やす》きがゆえに、旅客はおおかた人力車を捨ててこれに便《たよ》りぬ。車....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
たいものだ、と村中駆け回って談判に及んだが、誰も進んで行こうとする者はない。 「
賃銭はいくらでも出す」と嗾《そその》かせば、 「それではいくら出す」とはや欲張る....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
から離れた淋しい土地だから誰も度外に置いてあるとの事だ。
併し馬車は余が充分の
賃銭を約束したから行く事になった。馬丁は「アノ様な淋しい所で帰りに乗せる客がある....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
まりの食物の入費も多く、折り返し使わるる途中で小遣銭もかかり、その日に取った人馬
賃銭はいくらも残らない。ことさら遠い村方ではこの労役に堪えがたく、問屋とも相談の....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
参りまして、荷を置いて参ります、又|彼方から参る物は此方へ積んで参りまして少々の
賃銭を戴きます、はい宜く稼ぎますが、丁度飯山の御城下へまいり、お酒の美いのを買っ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
りの縄の先を、嘉吉が胴中へ結へ附けて、車の輪に障らぬまでに、横づけに縛りました。
賃銭の外じゃ、落しても大事ない。さらば急いで帰らっしゃれ。しゃんしゃんと手を拍い....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ざとらしく、がちがち。 「雲助め。」 と笑いながら、 「市ヶ谷まで雇ったんだ、
賃銭は遣るよ、……車は要らない。そのかわり、蝋燭の燃えさしを貰って行く。……」 ....
「錦紗」より 著者:犬田卯
るのが見えたが、お通はふと気をかえて、それには乗らぬことに決心した。たった十銭の
賃銭ではあったが、歩いて行ったとて一時間とはかからぬ町である。四十分や五十分早く....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
たのである。 「従って、対手を不機嫌にした、自分を知って、偶然にその人に雇われて
賃銭を取る辛さは、蓑もあら蓑の、毛が針となって肉を刺す。……撫肩に重荷に背負って....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
場合でも十五疋も十六疋も徴発して、その余分の馬に秘密で人から頼まれた荷物を積んで
賃銭を貪ることを、役徳のように心得て居るのがシナ人の常です。
そういう訳ですか....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
人は十銭、二十銭、小児半額等と掲示し、内陳参観料を収入する所あり。あたかも汽車の
賃銭表を見るがごとし。 内国布教会あるいは外国布教会、その他これに類する教会に....
「西航日録」より 著者:井上円了
を用い、湯屋は混浴を常とし、寺前に乞食の多き、商品に掛け値の多き、車夫の人を見て
賃銭を高下するがごときは、みな東洋的なり。ただし、他国人を擯斥しあるいは軽蔑する....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
網の浮き桟橋へおりて行った。昔はこの川蒸汽も一銭蒸汽と呼んだものである。今はもう
賃銭も一銭ではない。しかし、五銭出しさえすれば、何区でも勝手に行かれるのである。....