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質屋
「質屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
質屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
処へ来て何も、向う様だって遠慮はねえ。大家様の隠居殿の葬礼に立つとってよ、町内が
質屋で打附ったようなものだ。一ツ穴の狐だい。己あまた、猫のさかるような高い処は厭....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
とにかく、多少の価うちがありそうな物はすべて一包みにして、僕はやとい車に乗った。
質屋をさして車を駆けらしたのである。 友人にでも出会ったら大変と、親しみのある....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
りこんだが、それから露地をくねくね曲った末に、「おうの屋」と白字を染ぬいた一軒の
質屋へ飛び込んだ。 「こないだ預けた銘仙の羽織をちょっと出して貰いたいんだが」 ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
敦タイムズ社が売った数千部のブリタニカやセンチュリー大辞典はツンドク先生の客間や
質屋の庫に埋もれて了ったと、賢しら顔して云う人もあるが、客間の粧飾となっていよう....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
も、銀行は同一取引の資産家だから、出掛けに、捨利で一着に及んだ礼服を、返りがけに
質屋の店さきで、腰を掛けながら引剥ぐと、江戸川べりの冬空に――いいかね――青山か....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
二十九 子爵千破矢滝太郎は、今年が十九で、十一の時まで浅草|俵町の
質屋の赤煉瓦と、屑屋の横窓との間の狭い路地を入った突当りの貧乏長家に育って、納豆....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
はお隣に当りましょうか。お娘ごには叔父ごにならっしゃる、富沢町さんと申して両国の
質屋の旦が、ちょっと異な寸法のわかい御婦人と御楽み、で、大いお上さんは、苦い顔を....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
ように、巧に造られたものがあったが、現に熊本県下にはまだ残存している。また当時の
質屋などでは必らず金網のボンボリを用いた。これはよそからの色々な大切なものを保管....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
って現われた来由である。 わたしは、四年あまり、いつもいつも――ほとんど毎日、
質屋と薬屋の間を往復した。年齢は忘れたが、つまり薬屋の櫃台がわたしの脊長けと同じ....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
、それが一本二百円くらいの相場だつたから、どうやらやつては行けたが、彼女の衣類が
質屋に行つたことも一、二度あつた。昭和八、九年ごろから十三年ごろまでは一番楽な時....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
出る事は鯉のようなものではのうてね、これ第一や。今夜から、流れて走るぞね。」 「
質屋が駆落をしやしまいし。」 大潟で漁る名物だ、と八郎が私に云った。 「幾干な....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
名と神楽坂路考のおらいとの間に生れた総領のおくみであって、二番目の娘は分家させて
質屋を営ませ、その養子婿に淡島屋嘉兵衛と名乗らした。本家は風流に隠れてしまったが....
「西航日録」より 著者:井上円了
の信徒なり。村民の品行勤倹、実に一国の模範となれり。アイルランド中にて、酒店なく
質屋なく巡査の必要なきは、この一村のみなりという。かくのごときは、文明的尭舜の民....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
な資格でそこに居座ることになった。いよいよ小づかいに困り、しめていた角帯を持って
質屋へいき『五十銭貸してくれ』といって断られたのもこの時分のことである。 ある....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
国へ歩いて行った。菓子屋の寿徳庵は昔のように繁昌しているらしい。しかしその向うの
質屋の店は安田銀行に変っている。この
質屋の「利いちゃん」も僕の小学校時代の友だち....