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「質樸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

質樸の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
の社を知らざる一人の※を伴い参詣するところあり。田舎には合祀前どの地にも、かかる質樸にして和気|靄々《あいあい》たる良風俗あり。平生|農桑《のうそう》で多忙なる....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
っと欲の深い人どすさかい」と一と口いったことのあったのを、ふと思い起した。それを質樸な婆さんと見たのがこちらの誤りであったか……そんなことを思った。 私の心の....
田園雑感」より 著者:寺田寅彦
である。 反応を要求しない親切ならば受けてもそれほど恐ろしくないが、田舎の人の質樸さと正直さはそのような投げやりな事は許容しない。それでこれらの人々から受けた....
青年」より 著者:森鴎外
お客が附いたら、やはり前通りに食事の世話をしても好いと云っている。 婆あさんの質樸で、身綺麗にしているのが、純一にはひどく気に入った。婆あさんの方でも、純一の....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
姿を見せているのである。 創作の原則で新詩社と常に対立していた正岡子規は「真摯質樸一点の俗気を帯びざる」芸術境を目ざすことで、国木田独歩は、少くとも「嘘を書か....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
しまった、関東の武士も今は怖るるところはない、ただ新徴組の一手と――それに東北の質樸《しつぼく》な国侍《くにざむらい》に歯ごたえがある。 その新徴組の中で、最....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
おしめ》が主人の人格を七分方下げるように思ったが、求むる所があって来たのだから、質樸な風をして、誰《たれ》も言うような世辞を交《ま》ぜて、此人の近作を読んで非常....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
よどんだ。 「どうするんだい?」 「気の毒で……。」 「だれに?」とメルキオルは質樸《しつぼく》に尋ねた。 「お父さんに。」 メルキオルは顔をしかめた。そして....
文づかい」より 著者:森鴎外
にて、髪はまだふかき褐いろを失わねど、その赤き面を見れば、はや額の波いちじるし。質樸なれば言葉すくなきに、二言三言めには、「われ一個人にとりては」とことわる癖あ....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
鬱な表現とはまるで違って、われわれの祖先が作った埴輪の人物はすべて明るく、簡素|質樸であり、直接自然から汲み取った美への満足があり、いかにも清らかは上代の禊の行....
本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
の血も多く交り、同じ日本民族と申しましても、比較的蝦夷の影響を被ることの多かった質樸な田舎人でありました。すなわちこの東人は、要するに佐伯部の延長と申してよろし....
宝石商」より 著者:小川未明
しい宝石を持って売りにゆけば、たいそう金がもうかったのでありました。 けれど、質樸な北の方の国の人々は、そのことを知りませんでした。また、遠い南の国へゆくにし....