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質流れ
「質流れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
質流れの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
は一尺あまりで、すこぶる精巧に作られていたが、期限を越えてもつぐなわず、とうとう
質流れになってしまった。ほかに売る先もないので、廃り物として空き屋のなかに久しく....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
先代の頃から薄雲の碁盤というのを持っていました。物好きに買ったのではなく、商売の
質流れで自然に引き取ることになったのです。 そこで、養玉院にある高尾の碁盤と将....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
質品はムカデの茶器が受けだされる迄は受けだされたことがない。ムカデの茶器とともに
質流れをまぬがれていた品物の全部が受けだされた。それは小刀一振。能面一ツ。色鍋島....
「富籤」より 著者:神西清
。」 「ああ、出てるよ」とイワン・ドミートリッチは言った、「だけど、お前の富札は
質流れになってるんじゃないのかい?」 「いいえ、火曜日に利子を入れて置いたのよ。....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
はこちらの質の利息払いの期限をのばしてもらうのはこの時と勇み立ち、あつかましくも
質流れの紋服で身を飾り、知らぬ人が見たらどなたさまかと思うほどの分別ありげの様子....
「札幌まで」より 著者:寺田寅彦
の看板の記憶が甦って来るのを感じた。 とある町角で妙な現象を見た。それは質屋で
質流れの衣類の競売をしている光景らしく判断された。みんな慾の深そうな顔をした婆さ....
「肉体」より 著者:豊島与志雄
ところに絵を持ってきて、決して質入れするんじゃあない、どうせ受出せないんだから、
質流れのつもりで、それだけ金をかしてくれ、その代り、確かに僕自身の作品だよ、とそ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
から伝来のものだけでも売食いしても相当のものはあったが、商売気がないから、みんな
質流れか、或いは二束三文。あれをもとに道具屋開業――なぜあの時それだけの知恵が出....
「東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
からである。時には武家累代の重宝と称せらるる掛物が、武家からして質屋に入り、遂に
質流れになったのを、二千疋以上を投ぜられて、御府に御買上げになることもあった。公....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
う》のふいた相輪《そうりん》の根元に、青色の角袖《かくそで》の半合羽を着た儒者の
質流れのような人物が、左の腕を九|輪《りん》に絡みつけ、右手には大きな筒眼鏡を持....
「雁」より 著者:森鴎外
ているのだ。着物なんぞはどうでもして遣る。待てよ。馬鹿な銭を使ってはならないぞ。
質流れにだって、立派なものがある。女一人に着物や頭の物の贅沢をさせるには、世間の....
「じいさんばあさん」より 著者:森鴎外
都でその年の夏を無事に勤めたが、秋風の立ち初める頃、或る日寺町通の刀剣商の店で、
質流れだと云う好い古刀を見出した。兼て好い刀が一|腰欲しいと心掛けていたので、そ....
「神楽坂」より 著者:矢田津世子
ていた紋付羽織もとうとう買うてやらなかった。箪笥の底に納いこんであった双子の袷も
質流れを格安に手にいれたもので、三十何年の間つれ添うて内儀さんに奢ってやった目ぼ....