質草[語句情報] » 質草

「質草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

質草の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
浮ぶものは、仙遊館の自分の部屋、制服と蒲団だけが残されてあるきりで、あとはもう、質草になりそうなものの一つも無い荒涼たる部屋、他には自分のいま着て歩いている絣の....
酒中日記」より 著者:国木田独歩
別に立派な費《つか》い途《みち》でも有るのなら、借金してだって、衣類《きもの》を質草に為《し》たって五円や三円位なら私の力にても出来《でか》して上げるけれど、兵....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
た金を差引いても、残りの利益は莫大だった。貧乏人の多い町で、よくよく金に困って、質草もなくただ利子に追われている質札ばかり増えるのを持て余している者がちょっとや....
巡査辞職」より 著者:夢野久作
取出された見事な花|茣蓙《ござ》が敷詰められて、やはり土蔵の奥から持出された古い質草らしい、暑苦しい土佐絵《とさえ》の金屏風《きんびょうぶ》が建てまわされた。そ....
斜陽」より 著者:太宰治
、質屋の番頭をこっそり家へ連れて来て、僕の部屋へとおして、何かこの部屋に目ぼしい質草ありや、あるなら持って行け、火急に金が要る、と申せしに、番頭ろくに部屋の中を....
ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
た。そして帰りにはきっと乏しいOの財布をはたかせたり、最後にはその上に着物までも質草に持っていくような真似をしました。 その後、彼はもう猛烈にOの悪口を云って....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
生やさしいものではない。勝のおやじや、おれなんぞは、千三《せんみつ》をやっても、質草をはたいても、やりくりはつこうというものだが、宗家の台所となるとそうはいかな....
早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
ろもある。ところが、ここにもう一つ不思議なことは、その女が立ち寄っておいたという質草が、いつもきまって同じ物だった――蝶々の彫りをした平《ひら》うちの金かんざし....
醤油仏」より 著者:吉川英治
った。 「そう見えましょうか」 「見えるな」 と、銅鑼亀はそこで一服|喫って、質草を包んでいる女房の出かけてゆくのを待っていた。 親方の米櫃も空だとみえる。....