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「贋物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

贋物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
こころいた》げな顔色を見せていないではなかった。しかし葉子から見るとそれはみんな贋物《にせもの》だった。 やがて古藤は兵営への帰途医者を頼むといって帰って行っ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
見せ金には本物を見せて油断させ、それから贋金をまぜて出すのである。つまりは本物と贋物とをまぜて使うのであるが、しょせんは一種の贋金使いであることは云うまでもない....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
》といい、どうもそれが稲川家の宝物であるらしく思われてならなかった。しかもそれが贋物《にせもの》でない、たしかに狩野探幽斎の筆であると重兵衛は鑑定した。よそなが....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
罪になりました」 「御符売りはどうなりました」 「池鯉鮒様の名前を騙って、そんな贋物を売っているんですから、今なら相当の罰を受けるでしょうが、昔は別にどうという....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
りゃあ、誰にもちょいと判りますめえ。殊にみんなが慌てている時だから、猶さら本物か贋物かの見分けが付かなかろうと思います」 「おめえもなかなか素人じゃあねえ」と、....
とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
長田泉三と言いましてな、N鉄道局教習所の古い卒業生で、当時年齢三十七歳、鼻の下の贋物のチョビ髭を取ってしまえば何処となく菊五郎張りの、デップリした歳よりはずっと....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
の上の油の零れ工合と云い、その上を被害者の足の滑った跡の工合と云い、全くあれは、贋物にしては出来過ぎていますよ。あの屍体は南室から運ばれたのではなく、始めから東....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
一隻はぬけぬけと脱税までして、能率を上げていたんですよ……ところが、この釧路丸は贋物なんですから、船員の口から秘密の洩れるのを恐れて、まず根室の附近へは、絶対に....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
惣八は訴えるように云った。「ところが、宗匠はどうしても肯いてくれないで、なんでも贋物を売ったに相違ない。ふだんが不断だから、おまえの云うことは的にならないと……....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
にも老女の話を聞いて、その鉄簡をみせてくれという者がしばしばあるので、彼女はその贋物を人に貸すことにして、本物は常に自分の腰に着けていた。きょうもその贋物の方を....
少年探偵長」より 著者:海野十三
ダルを買ったのだ。顔の大きな刀傷は、できるだけ、素顔をかえるために、絵具でかいた贋物だったんだ。どうだ机博士、面白い話じゃないか」 首領四馬剣尺は、大きな腹を....
怪塔王」より 著者:海野十三
ますと、また天井から大きな声で、 「あっはっはっはっ。どうだ。やっとわかったか。贋物の怪塔王の仮面がやっとはげたんだ。そのような怪塔王でよかったら、あと幾人でも....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
で一眼でも有ろうなら、三重県に居る代物ではない。今度名古屋へ来た連中もそうじゃ、贋物ではなかろうから、何も宗山に稽古をしてもらえとは言わぬけれど、鰻の他に、鯛が....
迷彩」より 著者:上村松園
が考えている以上に、実際行なわれているらしいので、そのことには多少気を痛めます。贋物や疑物ということは、折々耳にしないこともないのですが、それが案外多いらしい様....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
うな錯覚を起させる。後刻屍体が発見された時この男にはアリバイがあるし、殺人はこの贋物の被害者が部屋にはいって後行われたもののように考えられる。 (六)、室外にい....