赤子[語句情報] » 赤子

「赤子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

赤子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
心とを、同時にそそらないものはない。――平六は、左右を見まわしながら、抱いている赤子を、ふり動かして、得意らしく、しゃべり立てた。 「上へ上がって見ると、阿濃め....
死後」より 著者:芥川竜之介
似《くちまね》をしながら、小声にくすくす笑っていた。が、しばらくたったと思うと、赤子の頭に鼻を押しつけ、いつかもう静かに寝入っていた。 僕はそちらを向いたまま....
捨児」より 著者:芥川竜之介
から、いよいよ東京を立ち退《の》こうと云う晩、夫婦は信行寺の門前へ、泣く泣くその赤子を捨てて行きました。 「それからわずかの知るべを便りに、汽車にも乗らず横浜へ....
或る女」より 著者:有島武郎
ように絶望的に低く部屋の中に響いた。 倉地から離れた葉子はさながら母から離れた赤子のように、すべての力が急にどこかに消えてしまうのを感じた。あとに残るものとて....
或る女」より 著者:有島武郎
た。そうして泣き入る葉子を大事そうにかかえたまま、倉地は上体を前後に揺すぶって、赤子《あかご》でも寝かしつけるようにした。戸外ではまた東京の初冬に特有な風が吹き....
星座」より 著者:有島武郎
おいては、きわめて醜《みにく》くそして淫《みだ》らだ。しかしある女性においては、赤子のほかに見出されないような初々《ういうい》しさを染めだす。おぬいさんのそれは....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
無きが多く、陸続として、約二十町の間を引ききりなしに渡り行くのである。十八を頭に赤子の守子を合して九人の子供を引連れた一族もその内の一群であった。大人はもちろん....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
けて行く。 漁夫たちの群れから少し離れて、一団になったお内儀さんたちの背中から赤子の激しい泣き声が起こる。しばらくしてそれがしずまると、風の生み出す音の高い不....
去年」より 著者:伊藤左千夫
なかった。 四 五月の末にだれひとり待つ者もないのにやすやすと赤子は生まれた。 「どうせ女でしょうよ」 妻はやけにそういえば、産婆は声静かに....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
ちかと、かの女は女性にありがちな通俗的な思案にふけって居るうちに、自分のむす子が赤子のとき、あんまりかの女達が若い親だったことを思い出した。若くもあり、性来子を....
空襲警報」より 著者:海野十三
く聞け」 鉄造は一歩前に出て悲痛な声をはりあげ、 「貴様はそれでも、天皇陛下の赤子かッ! 大和民族かッ、五反田防護団員なのかッ! 恥を知れッ」 まァまァと分....
」より 著者:池谷信三郎
な多情が、章魚の肢のように揺れていることか。あるいはまた、どんな純情が、夢を見た赤子の唇のようにも無邪気に、蒼白く浮んでいることか。シイカが橋を渡るまでけっして....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
で、日に何度泣いたやら。――それでもね、十ウの時、はじめて両親はあかの他人じゃ、赤子の時に村へ貰われて来た、と聞かされた時ほど、悲しかった事はなかったぞね。実の....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
より成るものなり。 ヤソ教の洗礼式は、ローマ宗にては、水をひしゃく体のものにて赤子の額にそそぐなり。バプテスト宗にては赤子の洗礼を許さず、人ようやく長じて是非....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ことなく、ときどき日光にさらすのみなれば、垢のために黒く染まり、臭気はなはだし。赤子はこれを獣皮にて包む。その形、エジプトのミイラに似たり。平素トナカイを養いて....