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赤紫
「赤紫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤紫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
柔らかに布《し》いた薄葉を微風にうら反《が》えしている、たまに白砂の中に塩釜菊が
赤紫色に咲いているのが、鮮やかに眼に映る外は、青い空と、緑の木と、碧の水。
し....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
せながら言った。そして、その右手をわなわなと顫わしながら、赤酒《せきしゅ》らしい
赤紫色の液体をなおも紀久子の口に勧めようとしていた。 「お嬢さま! 本当にしっか....
「さようなら」より 著者:田中英光
さん、さようなら」岡田は虫の鳴くようにそう呟き、そのままピクリとも動かなくなる。
赤紫に膨脹した左耳に毒々しい銀蠅が群がってたかりだした。ぼくたちはそのまま岡田の....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は玲瓏と澄み返り彼らの左方に聳えていた。肌は咲き初めた紫陽花のように、濃い紺青や
赤紫やまたは瑠璃色やまたは樺や、地味地層の異うに連れて所|斑らに色も変わり諸所に....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
って、白山一華の白と、信濃金梅の黄とが、多く咲いている、チングルマの小さい白花、
赤紫の女宝千鳥などで、小さい御花畑を作っている、霧の切れ目に、白河内岳が眼の前に....
「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」より 著者:宮本百合子
て漫画、喜劇における登場人物の様式化が問題になった前後、戯曲作家ブルガーコフが「
赤紫島《バグローブィエオーストロ》」という喜劇風オペレットを書いた。 同じブル....
「新たなプロレタリア文学」より 著者:宮本百合子
・八年モスクワ芸術座で上演され、ひどく評判だった。 ブルガーコフはこの他にも「
赤紫の島」という脚本を書いた。これは、カーメルヌイ劇場に上演されてなかなか面白い....
「贋紙幣事件」より 著者:甲賀三郎
い出したんだ。和尚さんの様子が只事じゃなかったからね。二匹の犬はどこで印刷に使う
赤紫のインキを踏んだのか知らないけれども、仮りにお堂の下で踏んだものとしたら、そ....
「虎狩」より 著者:中島敦
見事だ。動く度に色を変える玉虫めいた灰白色の胴には、派手なネクタイの柄のように、
赤紫色の太い縞《しま》が幾本か鮮かに引かれている。 「どうだ!」と、熱心に見詰め....
「パリの地下牢」より 著者:野上豊一郎
として待遇されていたが、それでも、彼女の此の地下牢で掛けていた肱掛椅子を見ると、
赤紫のびろうどを張った牢獄にはふさわしくないもので、それが今はその部屋から二つ目....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、ここに至っては、海に根を張って空に開いた、大花弁というほかにないであろう。その
赤紫色の塊団は、さながら和蘭風の刈籬を想像させた。島影は、落日のため硫黄色に焼け....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
パラパラと蒔かれていたが、多くは花に包まれていた。白いのは木蓮か梨の花であろう。
赤紫に見えるのは、蘇枋の花に相違ない。 と、灌木の裾を巡って、孕鹿が現われた。....
「土竜」より 著者:佐左木俊郎
、ぷかぷかと貪り吸った。煙は薄蒼白く、燻銀の空から流れる光線の反射具合で、或いは
赤紫に、ゆるやかに縺れて灌木の叢の中に吸い込まれて行った。 梅三爺は、白毛混じ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
どんなやさしい顔をしていらっしゃるか!」 夕風が吹き出して、湖の面《おもて》が
赤紫色《モーヴ》に染った。 こんなことがあってから、疏水《そすい》へ行くと、佐....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
、それで駄目なら南米ネ」と、不興げに横を向いてしまった。 太陽はアルプスの巓を
赤紫色に染めて、ようやくその向うへ沈もうとしている、漫々たる海面《うなづら》は青....