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赤蜻蛉
「赤蜻蛉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤蜻蛉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「軍用鮫」より 著者:海野十三
赤湾が、ゆるい曲線をなしてひらけ空は涯しもしらぬほど高く澄みわたり、おつながりの
赤蜻蛉が三組四組五組と適当なる空間をすーいすーいと飛んでいるという、げに麗らかな....
「海異記」より 著者:泉鏡花
辿るよう、世帯染みたがなお優しい。 秋日和の三時ごろ、人の影より、黍の影、一つ
赤蜻蛉の飛ぶ向うの畝を、威勢の可い声。 「号外、号外。」 二 「三....
「地球盗難」より 著者:海野十三
んでいる辻川博士ですわ」 「そうか、辻川博士か。――それからもう一つ、この村では
赤蜻蛉が出てくるのは何時ごろからかネ。そしてその
赤蜻蛉が飛びながらいつも向いてい....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
れる。」 一廻り斜に見上げた、尾花を分けて、稲の真日南へ――スッと低く飛んだ、
赤蜻蛉を、挿にして、小さな女の児が、――また二人。 「まあ、おんなじような、いつ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
も一淀みする、この日溜りの三角畑の上ばかり、雲の瀬に紅の葉が柵むように、夥多しく
赤蜻蛉が群れていた。――出会ったり、別れたり、上下にスッと飛んだり。あの、紅また....
「古狢」より 著者:泉鏡花
三階だったけれど、下からは四階ぐらいに当るだろう。晩飯の烏賊と蝦は結構だったし、
赤蜻蛉に海の夕霧で、景色もよかったが、もう時節で、しんしんと夜の寒さが身に沁みる....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
なのであった。 枯蓮もばらばらと、折れた茎に、トただ一つ留ったのは、硫黄ヶ島の
赤蜻蛉。 鯡鯉の背は飜々と、お珊の裳の影に靡く。 居たのは、つい、橋の其方で....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
すものかくされぬ、 すきや明石に緋ぢりめん、 肌のしろさも浅ましや、 白い絹地の
赤蜻蛉。 雪にもみじとあざむけど、 世間稲妻、目が光る。 あれあれ見たか、 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
もあって、葉がもう黒く、鶏頭ばかり根の土にまで日当りの色を染めた空を、スッスッと
赤蜻蛉が飛んでいる。軒前に、不精たらしい釣荵がまだ掛って、露も玉も干乾びて、蛙の....
「橋」より 著者:池谷信三郎
するか? ある時は、鳴り止まったピアノを。ある時は、秋の空に、無数につるんでいる
赤蜻蛉を。等々々、…… 8 シイカは川岸へ出るいつもの露路の坂を、ひ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
はまた一興じゃよ。時に日もかげって参ったし、大分寒うもなって来た。――おお沢山な
赤蜻蛉じゃ、このちらちらむらむらと飛散る処へ薄日の射すのが、……あれから見ると、....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
もそれでなくっても、上野の山下かけて車坂を過ぐる時※ば、三島神社を右へ曲るのが、
赤蜻蛉と斉しく本能の天使の翼である。根岸へ入っては自然に背く、という哲人であった....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
れる――わかさぎを焼く香が、淡く遠くから匂って来た。暖か過ぎるが雨にはなるまい。
赤蜻蛉の羽も、もみじを散して、青空に透通る。鐘は高く竜頭に薄霧を捲いて掛った。 ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
れば、裏手は一面の蘆原、処々に水溜、これには昼の月も映りそうに秋の空は澄切って、
赤蜻蛉が一ツ行き二ツ行き、遠方に小さく、釣をする人のうしろに、ちらちらと帆が見え....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
を出て、下谷|三の輪辺の知辺の許へ――どうも前に云った雪中庵の連中といい、とかく
赤蜻蛉に似て北へ伸すのは当今でいえば銀座浅草。むかしは吉原の全盛の色香に心を引か....