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赤革
「赤革〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赤革の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
を向けると、もう一度人ごみの中へ帰り出した。しかしまだ十歩と歩かないうちに、ふと
赤革の手袋を一つ落していることを発見した。手袋は巻煙草に火をつける時、右の手ばか....
「父を失う話」より 著者:渡辺温
いるより仕方もなかった。
港の停車場に着くと、父は車夫を呼んでチェッキで大きな
赤革のスートケースを二つも受け取らせた。そのスートケースの一つと共に車に乗って波....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
加わってきていた。 「正勝さんへ来たんですがね」 電報配達夫は、それでも小さな
赤革の鞄《かばん》の中から電報を取り出した。 「だれのでもいい、貰《もら》ってお....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。奥筋へと入り込んで来る中津川の商人も見える。荷物をつけて行く馬の新しい腹掛け、
赤革の馬具から、首振るたびに動く麻の蠅はらいまでが、なんとなくこの街道に活気を添....
「黄いろのトマト」より 著者:宮沢賢治
う息をつき、しずかにだくをやっていた。乗ってるものはみな赤シャツで、てかてか光る
赤革《あかかわ》の長靴《ながぐつ》をはき、帽子《ぼうし》には鷺《さぎ》の毛やなに....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
》り居たることを発見せるに因《よ》る。尚《なお》、同人所有のものと思われる鞄は、
赤革のスーツケースにして、大きさに不相応なる大型の金具及び把手《ハンドル》を備《....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
いた。 杜はカンカン帽を手に、さきへ階段を下りた。玄関のくつぬぎの上には、彼の
赤革の編あげ靴に並んで、飾りのついた黒いハイヒールの彼女の靴が、つつましやかに並....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、緋の法衣らしい、坊主袖の、ぶわぶわするのを上に絡って、脛を赤色の巻きゲエトル。
赤革の靴を穿き、あまつさえ、リボンでも飾った状に赤木綿の蔽を掛け、赤い切で、みし....
「九月の或る日」より 著者:宮本百合子
ょっとしあわてて避けたはずみに見ると、それは水瓜ではなく、子供の遊戯に使う大きな
赤革のボールであった。赤い皮の水瓜などない筈だが、この頃どの店先でも沢山水瓜を見....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
鬼」といったほうがぴったりする。その餓鬼の大群集がぽかんと口をあけて、探険家然と
赤革の外套なんかを着用している、二人とふたりの持物に飽かず見入っている。日本でも....
「足」より 著者:豊島与志雄
も……。」 隣席との境の床《ゆか》に、大きなトランクがあって、その上に、小さな
赤革のスーツケースがのっていた。彼はそれを指し示していた。 「どうも……汽車が揺....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ャメル……」 「ごめんなさい。私、これしか吸えないの。」と、いって夫人は、自分の
赤革のケースから、スリー・キャッスルの細巻を出して、青年がライターをつけてくれる....
「土神ときつね」より 著者:宮沢賢治
その下を狐が詩集をもって遊びに行ったのでした。仕立おろしの紺《こん》の背広を着、
赤革《あかがわ》の靴《くつ》もキッキッと鳴ったのです。 「実にしずかな晩ですねえ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
をキチンと梳って、上衣は着けていませんが、ネクタイにスエターを纏っているのです。
赤革の靴といい……この人気のない山の中に、誰が一体、来る人があるのでしょうか? ....