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赫く
「赫く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赫くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鮨」より 著者:岡本かの子
うしたのよ」 肩を揺って顔を覗き込む。子供は感違いした母親に対して何だか恥しく
赫くなった。 「だから、三度々々ちゃんとご飯喰べてお呉れと云うに、さ、ほんとに後....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
て、うるさいほど肩の数を聳かしている高層建築と大工場。灼熱した塵埃の空に幾百筋も
赫く爛れ込んでいる煙突の煙。 小初は腰の左手を上へ挙げて、額に翳している右の腕....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
聞かされた時、かなり一緒に行き度い心を抑えていたむす子は「なんだい、なんだい」と
赫くなって自分の苦笑にむせ乍ら云った。そして、かの女等は先のことは心にぼかしてし....
「河明り」より 著者:岡本かの子
もなった。 「あなた男なら学者にもなれる頭持ってるかも知れないのね」 娘は少し
赫くなった。 「……私の母が妙な母でした。漢文と俳句が好きで、それだのに常盤津の....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
さんがすきなんですね」
私は嬉しさの余り、感謝をはつきり云いすぎて年がいもなく
赫くなつた。
「すきというのは別として、僕にはあの人が犯人だとは信じられんのです....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
田毎大尉と旧友戸川中尉との前を辞するときに、一段とかたちを改め顔面を朱盆のごとに
赫くして、 「でありますが、この六条は、一日も早く原隊復帰を許され、例の××軍ト....
「死者の書」より 著者:折口信夫
を盛って、層々うち重る楼閣|伽藍の屋根を表した。数多い柱や、廊の立ち続く姿が、目
赫くばかり、朱で彩みあげられた。むらむらと靉くものは、紺青の雲である。紫雲は一筋....
「おにおん倶楽部」より 著者:林芙美子
う。」 と、巖ちゃんが、盲目の二人に切符を握らせると、二人はあわてたように顏を
赫くして、ポケットをさぐって札入れを出している。 「いいンですよ。財布なンか出し....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
とめている身体には凡ての力の根が涸れつくしているようである。唇をだらりと垂れて、
赫く日に焼けて禿げた額のみがてらてら光っている。その側に、白髪交りの僅かな髪を束....
「妖婦」より 著者:織田作之助
を「おれの娘」とよび女の子は「あたいの好い人」とよび、友達に冷やかされてぽうっと
赫くなってうつむくのが嬉しいのだった。 安子が毎朝教室へ行って机を開けると何通....
「兄妹」より 著者:岡本かの子
絣の着物に、藤紫の被布を着ていた。 三月の末、雲雀が野の彼処に声を落し、太陽が
赫く森の向うに残紅をとどめていた。森の樹々は、まだ短くて稚い芽を、ぱらぱらに立て....
「春」より 著者:岡本かの子
気違いになってから京子は却ってよく話し出した)出る声は慄え勝ちで、よくぱっと顔が
赫くなった。めったに人と口を利かない割合に気位が高かった癖に、よくも三度も結婚す....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
」 彼女はいままで云いそびれて居たあなたという言葉を思わず使った。 作太郎は
赫くなってそれから土気色になった。口に一ぱい詰めた生米は程よく乾いていたので少々....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
えた。 ――ほ、ほ、ほ、ほ、判らない? ムッシュウ・小田島。 小田島は手足まで
赫くした。 ――……………………。 ――私、どうしても嫌いな男や、私に何も呉れ無....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ことを忌めり。
苔の衣著、明き火を持ち、
疾く馳せ違ひ、
一人々々離れて営せり。
赫く蟻の蠢く如し。
縦に横に忙はしげに、
かなたこなたといそしみまどへり。
人....