赭土[語句情報] »
赭土
「赭土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赭土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「汽笛」より 著者:佐左木俊郎
》だった。長い緑の土堤には晩春の陽光がいっぱいに当たっていた。その下は土を取った
赭土《あかつち》の窪地。歳《とし》を取ったどすぐろい汚水、死に馬の眼のような水溜....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
一 赤沢医師の経営する私立脳病院は、M市の郊外に近い小高い
赭土山の上にこんもりした雑木林を背景に、火葬場へ行く道路を見下すようにして立って....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
知ってるのよ」 二三日晴天が続いた。川上はだいぶ降ったと見えて、放水路の川面は
赭土色を増してふくれ上った。中川放水路の堤の塔門型の水門はきりっと閉った。水泳場....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
うと、彼は一挺の手斧を持ち、一つの麻袋を腰につけて出かけるのである。麻袋の中には
赭土色をした粉薬のようなものが貯えてあって、まず蛇の来る前路にその粉薬を一文字に....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うと云う――それにさも似た荒涼たる風物が、擂鉢の底にある墻壁まで続いている。その
赭土褐砂の因をなしたというのは、建設当時移植したと云われる高緯度の植物が、またた....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
を呼びこんだ。雨期あけの灼りつけるような直射のしたは、影はすべてうす紫に、日向の
赭土は絵具のように生々しい。それがコンデロガを発つ探検第一日の前日だった。 マ....
「前哨」より 著者:黒島伝治
株が残っている畠があった。彼等は、そこを進んだ。いつのまにか、本隊のいる部落は、
赭土の丘に、かくれて見えなくなった。淋しさと、心もとなさと、不安は、知らず知らず....
「蟇の血」より 著者:田中貢太郎
を上流の方へ歩いて往った。 二丁ばかりも往くともう左側に耕地がなくなって松原の
赭土の台地が来た。そこにも川のむこうへ渡る二本の丸太を並べて架けた丸木橋があった....
「黒い地帯」より 著者:佐左木俊郎
の所有地を挟んで伸びて行った。 「煉瓦場の野郎共も、面白い野郎共だな。ほら、あの
赭土を採った跡を見ろったら。煉瓦場の親父の頭の禿具合と、そっくり似たように拵えが....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
杉杜がぬいていて、例えば空から続く大きな腕のように、台地の斜面を抱き込んでいた。
赭土の飛沫を運ぶ春先の暴風に、自然の屏風を備えたこの地帯は、部落中での優良な耕作....
「麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
であろうと、高谷君は想像した。低い堤に立って見おろすと、流れはずいぶん急で、堤の
赭土を食いかきながら、白く濁った泡をふいて轟々と落ちて行った。 丸山はステッキ....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
る。イベットはもともと南欧ラテン民族の抜ける様な白い額から頬へかけうっすり素焼の
赭土色を帯びた下ぶくれの瓜実顔を持つ女なのだが彼女が斯うした無心の態度に入る時に....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
那に、市郎の眼に映った敵の姿は、頗る異形のものであった。勿論、顔は判らぬが、膚は
赭土色で手足は稍長く、爪も長く尖っていた。身丈は低いが、小児かと見れば大人のよう....
「馬の顔」より 著者:田中貢太郎
つないその路は曲りくねっているので、一歩あやまれば転がって尻端折にしている単衣を
赭土だらけにするか、根笹や青薄に交って漆の木などの生えた藪畳の中へ落ちて茨に手足....
「女の怪異」より 著者:田中貢太郎
さまたげるもののない各自の世界に胸を高くはって歌っていた。土の上っ面を断り執った
赭土の肌の見えている処では、草は短くなってそこでは路があっちこっちに乱れていた。....