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赭色
「赭色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
赭色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
色《どろいろ》をしている。いや、ぬかるみのたまり水よりも一層|鮮《あざや》かな代
赭色《たいしゃいろ》をしている。彼はこの代
赭色の海に予期を裏切られた寂しさを感じ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
思われるのだった。ともあれ私達は急がねばならない。 やがて私達は石ころの多い代
赭色の、美しい岬の坂道にかかった。ちょうど日曜日で久々に訪ねてくれた水産試験所の....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
よ私は|悪魔の尿溜のなかにでたのだ。 夜だった。空には、濛気の濃い層をとおして
赭色にみえる月が、すばらしく、大きな暈をつけてどんよりとかかっている。私はいまだ....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
たのか、東の空が一面に古代紫のように燻んだ色になった……富士の鼠色は爛れた……淡
赭色の光輝を帯びたが、ほんの瞬く間でもとの沈欝に返って、ひッそりと静まった。 ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
、南の山の端には白雲の顔を覗けるを見る。向こうの松林には日光豊かに洩れ込みて、代
赭色の幹の上に斑紋を画き、白き鳥一羽その間に息えるも長閑なり。藍色の空に白き煙草....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
きまっている。すると美しき空想も芸術も何もかもそれで終局となる。 南仏の沿岸は
赭色の石で充ちている。それはモネーの地中海と題する有名な絵を見てもわかる。その小....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
つて前方ダンチョンと一緒に道に迷って来た事があった。そしてその時私は見た! 代
赭色をした平原を! その代
赭色の沙漠の中に一筋堤防のあったことを! そして堤防の....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
、水は不思議にも冷くない。後で聞くとこれは赤岩沢というのだそうで、その名のごとく
赭色の崩岩が河原にごろごろしていた。二時間近く下ると左岸の山腹に道らしきものが見....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
見えるわけだ。脚は痛いが勉強して上る。初め三角形に白かった山は、肌が見えて来る。
赭色をした地辷りも露われてくる。もう少しもう少しと上るうちに、南の方にもまた一つ....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
ぬけると上宮川原「信濃、上宮川原、嘉門次」、左の方数丁には、南穂高の南東隅に当る
赭色の絶嶂。一休して、この川原を斜めに右方に進み、ベニハナイチゴ、ミヤマナナカマ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
夏の眺望は、赤蜻蛉菱藻を嬲り初霜向うが岡の樹梢を染めてより全然となくなったれど、
赭色になりて荷の茎ばかり情のう立てる間に、世を忍びげの白鷺がそろりと歩む姿もおか....
「くちこ」より 著者:北大路魯山人
中間ぐらいの淡紅色で、この種のものの中で一番感じがよい。乾燥したものはいくぶん代
赭色に近い。生の香りは、妙にフランスの美人を連想するような、一種肉感的なところが....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
の左には小高(小笠)大高(大笠)の二山が大海のうねりのような緩やかな山稜の上に、
赭色の岩峰をぽつんと立てる。其うねりの低まったのが一度隆起して西山となり、再び大....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
。 振り反えると、妙高続き火打焼山に至る連嶺には、早や旭の光が薔薇色に燃えて、
赭色の山膚に鏤められた雪に宝玉の匂が加わった。かなかな蝉の涼しい声が遠くで聞える....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
側面を薙ぎ取った恐ろしい大崩壊に因って、地貌が一変したものであることは、脚の下に
赭色の岩膚を露出している大きなガレから察せられる。谷間に点在している椈の木などは....