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走り出
「走り出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
走り出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
足をねらった犬の背を危うく向こうへとび越えると、月の光をたよりにして、ひた走りに
走り出した。が、もとよりこの企ても、しょせんはおぼれようとするものが、藁《わら》....
「春の夜」より 著者:芥川竜之介
同時にまたNさんも左の手を離した。それから相手がよろよろする間《ま》に一生懸命に
走り出した。
Nさんは息を切らせながら、(後《あと》になって気がついて見ると、....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
方のごったになった中をつきぬけて、満目の高粱畑《こうりょうばたけ》をまっしぐらに
走り出した。二三発、銃声が後《うしろ》から響いたように思われるが、それも彼の耳に....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
も思ったのでしょう。いきなりその馬に跨《またが》って遮二無二《しゃにむに》街道を
走り出しました。そこまでは勇ましかったのに違いありません。しかし馬は
走り出したと....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、息苦しそうな呻《うめ》き声を発して、弦《いと》を離れた矢よりも早く、洞穴の外へ
走り出した。
空には暈《かさ》のかかった月が、無気味《ぶきみ》なくらいぼんやり....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
)
妻はおれがためらう内に、何か一声《ひとこえ》叫ぶが早いか、たちまち藪の奥へ
走り出した。盗人も咄嗟《とっさ》に飛びかかったが、これは袖《そで》さえ捉《とら》....
「或る女」より 著者:有島武郎
な大きな力に引きずられて、不思議な道に自覚なく迷い入って、しまいにはまっしぐらに
走り出した。だれも葉子の行く道のしるべをする人もなく、他の正しい道を教えてくれる....
「或る女」より 著者:有島武郎
い入り口の前に車夫が梶棒《かじぼう》を降ろすと、そこにはもう二三人の女の人たちが
走り出て待ち構えていた。葉子は裾前《すそまえ》をかばいながら車から降りて、そこに....
「親子」より 著者:有島武郎
。 事務所にはもう赤々とランプがともされていて、監督の母親や内儀さんが戸の外に
走り出て彼らを出迎えた。土下座せんばかりの母親の挨拶などに対しても、父は監督に対....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
走っているのだ。何故といえば、お前が私を出し抜いて、外部の刺戟ばかりに身を任せて
走り出して、何処かに行き着くことが出来たとしても、その時お前は既に人間ではなくな....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
謡ったり笑ったりして居る。 その中でこの犬と初めて近づきになったのは、ふと庭へ
走り出た美しい小娘であった。その娘は何でも目に見えるものを皆優しい両手で掻き抱き....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れるばかりの異様の物音がひびきます。 私は直ちに統一を止めて、急いで滝壺の上に
走り出て見ますと、果してそこには一|体の白竜……爛々と輝く両眼、すっくと突き出さ....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
した。 するとどこかで馬のいななくような声が聞こえたと思うと、放れ馬が行く手に
走り出て道のまん中にたちふさがって鳴きました。その鳴き声に応ずる声がまた森の四方....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
った。トロッコは三人が乗り移ると同時に、蜜柑畑の※を煽りながら、ひた辷りに線路を
走り出した。「押すよりも乗る方がずっと好い」――良平は羽織に風を孕ませながら、当....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
れて馬車に乗る。乗ればなかなか馬車は出ず。やがて九時にもならんとする頃一鞭あてて
走り出せしが、そのガタガタさその危なさ腰を馬車台に打ちて宙に跳ね上りあたかも人間....