越える[語句情報] »
越える
「越える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
越えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ながら、打ちはずした太刀を引いて、おりから足をねらった犬の背を危うく向こうへとび
越えると、月の光をたよりにして、ひた走りに走り出した。が、もとよりこの企ても、し....
「影」より 著者:芥川竜之介
、――まさか、――房子だけは――」
一瞬間の後陳彩は、安々《やすやす》塀を乗り
越えると、庭の松の間をくぐりくぐり、首尾《しゅび》よく二階の真下にある、客間の窓....
「河童」より 著者:芥川竜之介
こうりゃく》」などに出ているのと著しい違いはありません。身長もざっと一メエトルを
越えるか越えぬくらいでしょう。体重は医者のチャックによれば、二十ポンドから三十ポ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
はこれ等の支那美人よりも寧《むし》ろそのボオトの大辷《おおすべ》りに浪《なみ》を
越えるのを見守っていた。けれども譚は話半ばに彼等の姿を見るが早いか、殆《ほとん》....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
しにかかった。線路は停車場に近いため、何本も踏切りを横ぎっていた。彼はその線路を
越える度に、踏切り番の轢《ひ》かれたのはどの線路だったろうと思い思いした。が、ど....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
その時には、みんな河原の水際《みぎわ》により集まって、美しい天の安河の流れを飛び
越えるのに熱中していた。
彼等は互に競《きそ》い合って、同じ河の流れにしても、....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
られてしまいました。縄《なわ》ですか? 縄は盗人《ぬすびと》の有難さに、いつ塀を
越えるかわかりませんから、ちゃんと腰につけていたのです。勿論声を出させないために....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。個人的欲求と社会的欲求とが軒輊するという考えは根柢的に間違っている。若しそこに
越えることの出来ない溝渠があるというならば、私は寧ろ社会生活を破壊して、かの孤棲....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
はその周囲を一列の高い障壁で取り囲まれ、そして地とこの壁との中間のくぼみに何人も
越えることのできない大洋がある、壁の向こう側には神々のために当てられた領域がある....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
お前様。お茶屋も懸っておりまするで、素麺、白玉、心太など冷物もござりますが、一坂
越えると、滝がござります。そこまでも夜分参るものは少い位で、その奥山と申しますと....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
られたのでした。或る年の冬は雪沓を穿いて、吉備国から出雲国への、国境の険路を踏み
越える。又或る年の夏には焼くような日光を浴びつつ阿蘇山の奥深くくぐり入りて賊の巣....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
す。 堪りかねてその子家鴨は自分の棲家をとび出してしまいました。その途中、柵を
越える時、垣の内にいた小鳥がびっくりして飛び立ったものですから、 「ああみんなは....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
流の末が、可心のために、――女神の縁起になりました。 まだ、途中の、梨の木坂を
越えるあたりから降出したらしいのですが、さすが引返すでもなかった。家数四五軒、佗....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
する処もあった。海岸からサルジニアに進入するためにはサボナから西北方アルタールを
越える道路(峠の標高約五百メートル)が最良で、少し修理すれば車を通し得る状態であ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
界隈の人々の第三中学校へ避難したのもやはりこの大水のあった時である。僕は江東橋を
越えるにも一面に漲った泥水の中を泳いで行かなければならなかった…… 「実際その時....