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「趣く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

趣くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
謀り会資として珍宝を得んとす、その弟子中道で人が仏の無量の徳行を説くを聞きて仏に趣く途中虎に食われ、善心の報いで天に生まる、旧師波婆利慈氏のために大会を催すとこ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ると、彼は水戸浪士中の幹部のものが三、四人の供を連れ、いずれも平服で加州の陣屋へ趣くところを目撃したという。加州からも平服で周旋に来て、浪士らが京都へ嘆願の趣は....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
いというようなことも多少彼女の心を阻んだのであろうが、いつものびのびした処に意の趣くままに暮らして来た彼女なので、手狭な庸三の家庭に低迷している険しい空気に堪え....
十二支考」より 著者:南方熊楠
流記に海島竜女王|住処《すみか》を蛇多く守るといい、『賢愚因縁経』に大施が竜宮に趣く海上無数の毒蛇を見たとあり、『正法念処経』に〈熱水海毒蛇多し、毒蛇気の故に海....
十二支考」より 著者:南方熊楠
大いに開け鬼王帝釈に化けて宮中に入る。その時、帝釈、天帝に謁せんとカイラス天山に趣く、留守の天女ども、鬼王が化けたと知らず、帝釈帰ったと思うて至誠奉仕し、鬼王歓....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
研究する事は即ち石橋を叩く作業であろう。 然る後において、画家は、好む処、心の趣く処に従い、風景、静物、人体、その他あらゆるこの世の万象を描く事において絶対の....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
、知己になって知れたが、都合あって、飛騨の山の中の郵便局へ転任となって、その任に趣く途中だと云う。――それにいささか疑はない。 が、持主でない。その革鞄である....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
どころか、この図を視ながら、ちょんぼり髯の亭主が、「えへへ、ご壮な事だい。」勢の趣くところ、とうとう袴を穿いて、辻の角の(安旅籠)へ、両画伯を招待さ……「見苦し....
黒百合」より 著者:泉鏡花
島野は悪い処へ、という思入あり。 「おや、どちらへ。」 「ははあ、貴公と美人とが趣く処へどこへなと行くで。奢れ! 大分ほッついたで、夕飯の腹も、ちょうど北山とや....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
されかかって来た現状である。かくの如く、人間の飲食物に対する嗜好は年々歳々高尚に趣くから、昔からの名物というその名に恋々として改良を加えなければ、終に名物にうま....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
になり前になり、音を忍んで守人のみちにからみ出した。 守人は気がつかない。興の趣くままに、彼はふと高らかに吟じた。 「今日危途春雨冷やかなり――」 すると、....
素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
を作り出さんとし、もっぱらその成功を望んでいられる関係上、自然と風向きがその方に趣くのはまことに止むを得ないことである。これが前山翁であるがための引例でないこと....
純情主義を想う」より 著者:小川未明
、また真理の前に正直であるからである。今日、真面目なる学生等が、社会科学の研究に趣くのを不思議としないであろう。 一八五〇年代のロシアの学生が、「民衆の中に」....
読むうちに思ったこと」より 著者:小川未明
わらないのが、ほんとうにその人の文章です。自然たらざらんと欲しても、畢竟、自然に趣くもので、自分をいつわることはできぬものです。文品の高い、低いにかゝわらず、は....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
る曲線でグッと引きしめ、彼と是との力が平均し融合すると共に、徐ろに之を縦ってその趣くところに赴むかしめたのがあの如何にも落付きのある坐りのいい裾の線だ。薬師岳の....