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足早
「足早〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
足早の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
窓。少年の姿も変りはない。しばらくの後《のち》、少年は徐《おもむ》ろに振り返り、
足早《あしばや》にこちらへ歩いて来る。が、顔ばかりになった時、ちょっと立ちどまっ....
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
来ない。
尾生は険しく眉《まゆ》をひそめながら、橋の下のうす暗い洲を、いよいよ
足早に歩き始めた。その内に川の水は、一寸ずつ、一尺ずつ、次第に洲の上へ上って来る....
「春」より 著者:芥川竜之介
の遠いものに違いなかった。広子は目だけ微笑しながら、こう言う妹の恋人の前へ心もち
足早《あしばや》に歩いて行った。
「大村《おおむら》さんでいらっしゃいますわね?....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
内山は懐から、黄いろく光る煙管を出したかと思うと、了哲の顔へ抛《ほう》りつけて、
足早に行ってしまった。
了哲は、ぶつけられた所をさすりながら、こぼしこぼし、下....
「死後」より 著者:芥川竜之介
かに濡《ぬ》れ透《とお》っていた。僕はまだ余憤《よふん》を感じたまま、出来るだけ
足早に歩いて行った。が、いくら歩いて行っても、枳殻垣《からたちがき》はやはり僕の....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
つか起り出した風にこうこうと梢《こずえ》を鳴らしていた。そこへ背の低い男が一人、
足早にこちらへ来るらしかった。僕はふとこの夏見た或錯覚を思い出した。それはやはり....
「或る女」より 著者:有島武郎
いたずららしい微笑を笑窪《えくぼ》のはいるその美しい顔に軽く浮かべながら、階段を
足早に降りて行った。今ごろになってようやく床を離れたらしい男女の客がしどけないふ....
「星座」より 著者:有島武郎
るまで見送っていた。
園は鞄一つをぶら下げて、もう十分に踏み固まっている雪道を
足早に東に向いて歩いた。肘《ひじ》を押しまげて頭の上から強く打ち下そうとする衝動....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《くつろ》ぎがようござんす、ちょいと待って。)といいかけてつッと立ち、つかつかと
足早に土間へ下りた、余り身のこなしが活溌《かっばつ》であったので、その拍子に黒髪....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
市川菅女……と耳にはしたが、玄関の片隅切って、縁へ駈込むほどの慌しさ、主税は
足早に続く咄嗟で、何の意味か分らなかったが、その縁の中ほどで、はじめて昨日汽車の....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
、また途方もない声をして、階子段一杯に、大な男が、褌を真正面に顕われる。続いて、
足早に刻んで下りたのは、政治狂の黒い猿股です。ぎしぎしと音がして、青黄色に膨れた....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、やがて吹流しに手拭を被った婦人の姿が顕れて立ったが、先へ行く者のあとを拾うて、
足早に歩行いて、一所になると、影は草の間に隠れて、二人は山腹に面した件の温泉の口....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
。お酌は不束ですよ、許して下さい。」 「こっちも駆けつけ三杯と、ごめんを被れ。雲
足早き雨空の、おもいがけない、ご馳走ですな。」 と、夫人と見合った目を庭へ外ら....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
士が通る。ちとばかり前に、近頃は余り江戸|向では見掛けない、よかよか飴屋が、衝と
足早に行き過ぎた。そのあとへ、学校がえりの女学生が一人、これは雑司ヶ|谷の方から....
「活人形」より 著者:泉鏡花
えにける。銀平とんと胸を叩きて、「御配慮なされますな。と気軽に飛出し、表門の前を
足早に行懸れば、前途より年|少き好男子の此方に来懸るにはたと行逢いけり。擦違うて....