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足繁く
「足繁く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
足繁くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
分かった。 すゞが帰ると、間もなく、青島で彼女を貰い受けるため骨折った中津が、
足繁く出入りするようになった。バクチ打ちで、のんだくれで、味方にしても、こっちの....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
るような旅館がない。片原の町へ宿を取って、鳥博士は、夏から秋へかけて、その時々。
足繁くなると、ほとんど毎日のように、明神の森へ通ったが、思う壺の巣が見出せない。....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
り。みな表町なる大通の富有の家に飼われしなりき。夕越くれば一斉に塒に帰る。やや人
足繁く、戸外を往来うが皆あおぎて見つ。楓にはいろいろのもの結ばれたり。 そのま....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
て、彼女の方へ心が惹かされていった。 三十三 周平は次第に、蓬莱亭へ
足繁く通うようになった。金がない時には友人と一緒に、金がある時には一人で行った。....
「溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
何だかそれに応じて微笑《ほほえ》めないようなものを感じた。 そうした彼女の方へ
足繁く通いながら、掘割の縁で、私は幾度か夢想に沈んだ。 掘割の水はいつも濁って....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
勇んで、ついて行って、私の紙入れをカラにしてきた。 その日以来、凹井狭介先生が
足繁く私を訪問するようになった。理由は申すまでもなくお判りであろう。 弁吉がア....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
帝劇を出たときは、ちょっとの間、夕霽にあがりそうに見えた空も、また雨は銀色の
足繁く降り出して、準之助氏のラサールという、素晴らしく長い車台の車に送られて、四....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
といわれたのだった。 私は無論喜んで、先生の厚意ある言葉に従った。それから私は
足繁く出入するようになった。 私が訪問すると、先生は直ぐに書斎に入れて、いろい....
「光は影を」より 著者:岸田国士
る奇怪な雑沓とネオンの光のなかを、彼は、つとめて平然たる足つきで縫い歩いた。嘗て
足繁く通つたバアの看板はどこを探してもなかつたが、風変りな喫茶店が軒を並べた裏通....
「ヒウザン会とパンの会」より 著者:高村光太郎
んでしょう、ということになった。 いわばそれが病みつきというやつで、われながら
足繁く通った。お定まり、夫婦約束という惚れ具合で、おかみさんになっても字が出来な....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の裏町から出て、その日、日本橋で鉄道馬車に乗って上野で下りたが、山下、坂本通は人
足繁く、日蔭はなし、停車場居廻の車夫の目も煩いので、根岸へ行くのに道を黒門に取っ....
「三人の訪問者」より 著者:島崎藤村
馴染のような顔付をした斯の訪問者が、復た忸々しく私の側へ来た。正直に言うと、この
足繁く訪ねて来る客の顔を見る度に、私は「冬」以上の醜さを感じて居た。「お前とは旧....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
いた。 しかるに近頃に至って不思議な評判が院内に伝わった。 院長が六|号室に
足繁く訪問し出したとの風評。 不思議な風評である。 ドクトル、アンドレイ、エ....
「扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
た青年でした。官立大学で経済を学んでいたために、父亡き後の母は、この遠縁に当って
足繁く自家へ出入する青年を、何かと相談相手にして、いわば私との恋仲も黙許よりも、....
「雀が森の怪異」より 著者:田中貢太郎
の境遇に同情して、己のことのように世話してくれるので、神中も自然とその知人の処へ
足繁く出かけて往くのであった。 その日神中が銀行へ往ったところで、他の銀行員は....