足袋跣[語句情報] » 足袋跣

「足袋跣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

足袋跣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
永日小品」より 著者:夏目漱石
も、口を利《き》いた事がない。息子《むすこ》は夜きっと遅く帰る。玄関で靴を脱いで足袋跣足《たびはだし》になって、爺《おやじ》に知れないように廊下を通って、自分の....
朱日記」より 著者:泉鏡花
、袴の股立を、高く取ったは効々しいが、羽織も着ず……布子の片袖|引断れたなりで、足袋跣足で、据眼の面藍のごとく、火と烟の走る大道を、蹌踉と歩行いていた。 屋根....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
いようとは。 吉左衛門の家では一同裏の竹藪へ立ち退いた。おまんも、お民も、皆|足袋跣足で、半蔵に助けられながら木小屋の裏に集まった。その時は、隠居はもはやこの....
」より 著者:島崎藤村
は、未だ忘れられずにある。日光の渇……楽しい朝露……思わず嬉しさのあまりに、白い足袋跣足で草の中を飛び廻った。三吉がくれた巻煙草も一息に吸い尽した。千円くれると....
野狐」より 著者:田中英光
桂子は幾らか正気づき、自分でフラフラ立上る。着物の前ははだけ、裾からは真黒な足袋跣足。通りがかりの少年が、「やあ、女のお化け」といったのをムキになって怒り、....
新世帯」より 著者:徳田秋声
を出した時も、飯|喰う隙が惜しいくらい、クルクルと働き詰めでいた。始終|襷がけの足袋跣のままで、店頭に腰かけて、モクモクと気忙しそうに飯を掻ッ込んでいた。 新....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
あけると縁側であります。その縁側から裏庭へ、主膳は幸内を引き下ろしました。自分は足袋跣足《たびはだし》で、庭へ飛び下りていました。 今度は土の上を引いて引いて....
坑夫の子」より 著者:葉山嘉樹
と女房たちが子供に云った。 小林と秋山の、どっちも十歳になる二人の男の児が、足袋跣足でかけ出した。 仕事の済んでしまった後の工事場は、麗らかな春の日でも淋....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
満足に残ったのが虎松にとって大きな倖だったといえる。虎松は雪駄を帯の間に挿むと、足袋跣足のまま、下町の方へドンドン駈け下りていった。 「やあ、そこへ行くなあ親分....
丹下左膳」より 著者:林不忘
もあびせて……」 ひとりごとのようにうめきつつ、静かに雪駄《せった》をぬいで、足袋跣足《たびはだし》になった大之進は、トントンと二、三度足踏みをして、歩固めを....
三甚内」より 著者:国枝史郎
ドンと飛び下りたものがある。 細い縞の袷を着、紺の帯を腰で結び、股引きを穿いた足袋跣足、小造りの体に鋭敏の顔付き。――商人にやつした目明しという仁態。それがカ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
!」 五十本の吹き針を右の手に握って左の手では褄を引き上げ、はきものもはかない足袋跣足で、こう駒雄へ声を掛けた時には、鈴江は門外へ走り出していた。 「常....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
足で夜中に越そうと云うのは、余りに無謀で大胆であった。 彼女は裳を高く※げて、足袋跣足で歩いた。何を云うにも暗黒で足下も判らぬ。剣なす岩に踏み懸けては滑り墜ち....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
は往来したが、彼の店には一つも入って来なかった。自分のところの店番の若者と小僧の足袋跣足の足が手持無沙汰に同じ処を右往左往する。眼を挙げて日本橋を見ると晴れた初....
春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
の祭は、毎年正月十五日に、深い積雪の上で行われる。町が二つに分れて、血気の若者が足袋跣足鉢巻の出でたちで、双方大太鼓をいくつも担ぎ出して橇に載せ、削り懸けの撥を....